1 バイオマスとは
1 バイオマスとは
 バイオマスの変換技術

 バイオマスの変換技術には、どのようなものがあるの?
バイオマスの利活用技術は、大きく次の2つに分けられます。
   エネルギーとしての利用
    マテリアル(物質、原料、製品等)としての利用  
(1)エネルギーとしての利用
 エネルギー利用には、燃焼して熱・電力等に利用する技術や、固形物を気体や液体等の燃料に変換してから熱・電力に利用する技術があります。
●燃焼
 燃焼は熱利用としては古くから広く利用され、タービン等による電力利用も普及しています。ただし、カスケード利用の考え方からは、エネルギーとして利用する前に、できる限り製品等のマテリアルとして利用することが望まれます。
●ガス化、液化
 一般的にガス化、液化等の変換技術では、エネルギー変換効率が直接燃焼より良く、燃料としての搬送も容易になります。
 バイオディーゼル燃料等、一部実用化しているものもありますが、その多くは今後の実用化に向けて、変換効率の向上のための技術開発が進められています。
エネルギー利用のイラストを掲載しています。
(2)マテリアル(物質、原料、製品等)としての利用
マテリアル(物質、原料、製品等)利用には、古くからあるたい肥化、飼料化のほか、現在、技術開発が進められている生分解性(せいぶんかいせい)プラスチック等の技術があります。
●たい肥化等
たい肥化、飼料化等は既に普及した技術ですが、品質の向上やエネルギー利用との複合化など、さらなる技術開発が望まれています。
●木質系マテリアル
木質系資源利用では、まず、建築材・家具用材等の価値の高い製品開発と利用が望まれます。森林の環境保全、林業の活性化という観点からも、カスケード利用の上位になる付加価値の高い製品利用は不可欠です。
●その他
その他、生分解性(せいぶんかいせい)プラスチック、食品、医療等、商業ベースとしての利用技術開発や製品化が進められています。
(※)生分解性(せいぶんかいせい)プラスチックとは?
使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し、使用後に廃棄されると土中や海水中等にある微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になるプラスチックです。
たい肥のイラストを掲載しています。 飼料のイラストを掲載しています。 木質チップのイラストを掲載しています。
木質系資源利用
工業原料・有用物質のイラストを掲載しています。
工業原料・有用物質
バイオマスプラスチックのイラストを掲載しています。

 バイオマス変換技術の概要 以下は表となっています。エネルギー利用の変換技術は、燃焼、熱化学的変換、生物化学的変換に分類されています。マテリアル利用の変換技術は、肥料化、飼料化、生分解性プラスチック、木質系素材、工業原料・有用物質に大きく分類されています。
 エネルギー利用
分類 主な対象バイオマス 実用化レベル 技術の概要
燃焼 直接燃焼 製材工場等端材 実用化 直接燃焼して熱として利用する、あるいは、ボイラー発電を行う技術。製材工場等端材、林地残材、建築廃材やサトウキビなどの絞りかすであるバガスを用いて既に実用化レベルに達しているが、既存設備は自家消費用で必要最低限のエネルギー利用を目的とし、エネルギー利用効率が低いものが多い。
林地残材
建築廃材
家畜排せつ物
混焼 製材工場等端材 実証 石炭火力発電所等で化石資源とバイオマスを混合燃焼する技術。バイオマスの添加による発電効率等の低下を抑えて、安定運転することを目指す。
林地残材
建築廃材
固形燃料化 製材工場等端材 実用化 100℃〜150℃程度の加熱で木粉、または木粉と石炭の混合物を加圧し、リグニンをバインダとして成形固化し、燃料を得る。
 また、食品廃棄物等を乾燥、選別し、可燃物を取り出して円柱状(ペレット)に固めた固形燃料(RDF)も製造されている。
林地残材
建築廃材
食品廃棄物
熱化学的変換 ガス化 熔融ガス化 製材工場等端材 実用化 バイオマスを400℃〜600℃で熱分解ガス化を行い、可燃性ガスを発生させ、次に発生した焼却灰を可燃性ガスを利用して1,300℃以上の高温で溶融処理する技術。発生した熱は発電等に利用。
林地残材
建築廃材
部分酸化ガス化 製材工場等端材 実証 バイオマスを部分酸化して生成ガスを製造する技術。得られたガスは熱利用や発電に利用されるほか、触媒を用いてメタノールに変換することができる。
林地残材
建築廃材
農作物非食部
低温流動層ガス化 製材工場等端材 実証 バイオマスを低温(600℃程度)でガス化する技術で、得られたガスは発電や熱利用に用いられる。原料となるバイオマスの前処理が容易であるというメリットがある一方、安定連続運転を阻害するタールの吸着・分解が大きな課題。
林地残材
建築廃材
農作物非食部
超臨界水ガス化 家畜排せつ物 基礎 超臨界水中では加水分解反応が迅速に進行し、同時に有機物が効率よく分解されることを利用して、バイオマス等をガス化する技術。エネルギー効率の改善が課題であり、高温高圧条件の実現のために必要なエネルギーをどう回収するかが課題。
食品廃棄物
下水汚泥
液化 急速熱分解 製材工場等端材 実証 500〜600℃にバイオマスを急速に加熱することによって熱分解を進行させ、油状生成物を得る技術。生成物を液化燃料として熱や発電に利用。
林地残材
建築廃材
スラリー化 製材工場等端材 実証 木質系バイオマスを高温高圧の熱水で改質することにより、炭化して粉砕後、水を混ぜてスラリー化する技術。燃料としての利便性が向上する上に、木酢液が副産物として生産される。
林地残材
建築廃材
炭化 製材工場等端材 実用化 木質系バイオマス等の高カロリー化技術として古くから利用されており、バイオマスを酸化剤遮断下で加熱し熱分解により、効率よく炭素含有率の高い固体生成物(炭)を得る技術。
林地残材
建築廃材
エステル化 生活資源(廃食用油) 実用化 油糧(ゆりょう)作物から生産された植物油や廃食用油をメチルエステル化し、バイオディーゼル燃料を生産する技術。既に実用化されている。
生物化学的変換 メタン発酵 湿式メタン発酵 家畜排せつ物 実用化 家畜排せつ物や食品廃棄物を嫌気性発酵させ、メタンガスを発生させる技術。相当程度普及しつつあるが、処理廃液(メタン消化液)が排出され、その処理が大きな課題。
食品廃棄物
下水汚泥
乾式メタン発酵 家畜排せつ物 実証 低水分含量の原料でもメタン発酵が可能な微生物を利用した技術。処理残渣の炭化処理と組み合わせることにより、処理廃液を出さない処理システムを構築できる。
食品廃棄物
下水汚泥
二段醗酵 食品廃棄物 実証 食品廃棄物等のバイオマスを可溶化して、アセトン・ブタノール発酵もしくは水素発酵した後にメタン発酵させて、従来のメタン発酵に比べて高いエネルギー回収率を目指す技術。
エタノール発酵 とうもろこし 実用化(糖、でんぷん)実証(セルロース系) デンプン系資源を用いたエタノール生産技術については既に実用化されている。難分解性の木質系バイオマスに含まれるセルロースなどを糖化した上でエタノール発酵する技術については、技術開発中。
さとうきび
製材工場津端材
林地残材
建築廃材
(※)福島県バイオマス総合利活用指針「うつくしまバイオマス21」(平成16年3月)をもとに作成
 マテリアル(物質、原料、製品等)利用
分類 主な対象バイオマス 実用化レベル 技術の概要
肥料化 家畜排せつ物 実用化 家畜排せつ物を中心に広く利用されている。肥料としての利便性の向上や低コスト・省力的なたい肥化施設の開発、きょう雑物、有害物質の除去や低減が課題。 
食品廃棄物
製材工場等端材
林地残材
建築廃材
下水汚泥
飼料化 食品廃棄物 実用化 食品・水産廃棄物については、家畜・養魚用飼料として既に相当量が利用されている。飼料としての保存性の向上と品質の安定が大きな課題。
水産廃棄物
農作物非食部
生分解性(せいぶんかい)プラスチック とうもろこし 実用化 ポリ乳酸やでんぷん系プラスチック製造技術については既に実用化され、商業ベースでの生産が行われている。
さつまいも
食品廃棄物
木質系素材 製材工場等端材 一部実用化 製材工場等端材、林地残材、建築廃材を利用した再生木質ボードや木材−プラスチック複合材については既に実用化されている。用途拡大や性能の向上が課題。
 また、林地残材や建築廃材の成分を分離して再構成した木質プラスチックの開発による木材総合利用技術の研究が進められている。
林地残材
建築廃材
古紙 製材工場等端材、林地残材、建築廃材から化学工業原料として期待されるレブリン酸を製造する技術、さらには、木材炭化物からグラファイト等の機能性原料を製造する技術が注目されている。
工業原料・有用物質 水産廃棄物 一部実用化  水産廃棄物については、機能性食品原料(DHA、EPA、キトサン)などの形で商業ベースで生産が行われている。貝殻については、建設用資材などとして利用されている。
食品廃棄物
農作物非食部
製材工場等端材 食品廃棄物については、食物繊維やγ−アミノ酪酸(ギャバ)等は機能性食品原料として既に実用化されている。 他に様々な可能性があり、各種研究が行われている。
林地残材
建築廃材
(※)福島県バイオマス総合利活用指針「うつくしまバイオマス21」(平成16年3月)をもとに作成

 変換技術ごとの技術レベルは?
現状の技術レベル(エネルギー利用) 以下は表になっています。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が2005年9月に発行した「バイオマスエネルギー導入ガイドブック」に基づき、バイオマスのエネルギー利用の技術レベルを掲載しています。直接燃焼では実用例が多数ありますが、熱化学的変換や生物化学的変変換については実用事例が少数、または実証段階、開発研究段階となっています。
変換技術ごとの現状の技術レベルは次のとおりとなっています。(「バイオマスエネルギー導入ガイドブック(第2版a)」(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)2005年9月)をもとに作成
技術レベル 実用例多数 実用事例あり 実証段階 開発研究段階
変換技術 適用バイオマス 方式 技術レベル
直接燃焼 木質系バイオマス建築廃材(RDF)
合板製材、バーク等
ストーカ炉(固定、傾斜、移床)/
流動層炉(バブリング、循環式)/
キルン炉
 (じつようれいたすう) 
林地残材 ストーカ炉(固定、傾斜、移床)/
流動層炉(バブリング、循環式)/
キルン炉
 (じつようじれいあり) 
(小規模)(しょうきぼ)(じっしょうだんかい) 
木質系バイオマス 小規模ガス化炉  (じっしょうだんかい) 
 ((じつようじれいあり)) 
畜産廃棄物 牛豚鶏ふん尿等 乾燥装置 + ストーカ炉
キルンストーカ炉
 (じつようじれいあり) 
生活系廃棄物(一般廃棄物・RDF) ストーカ炉/流動層炉  (じつようれいたすう) 
産業廃棄物 脱水汚泥 古紙 (RDF)
     
キルン炉
 (じつようれいたすう) 
ストーカ炉/流動層炉  (じつようれいたすう) 
流動層炉  (じつようれいたすう) 
食品廃棄物 コーヒー粕 各種残渣 下水式炉
 (じつようじれいあり) 
流動層炉  (じつようじれいあり) 
農業廃棄物 もみがら バガス ストーカ炉(移床)
 (じつようれいたすう) 
流動層炉  (じつようじれいあり) 
(混焼) 乾燥バイオマス + 石炭 流動層炉  (じつようじれいあり) 
(燃料変換) 木質系バイオマス ペレット(+ボイラー、ストーブ)  (じつようじれいあり) 
木質系バイオマス 炭化  (じつようじれいあり) 
熱化学的変換 木質系バイオマス/草木 部分酸化  (じっしょうだんかい) 
畜産廃棄物/農業系廃棄物 熱分解 ガス化  (じっしょうだんかい) 
生活系廃棄物(古紙含む) 熱分解 ガス化  (じっしょうだんかい) 
食品廃棄物 熱分解 ガス化
 (じっしょうだんかい) 
水蒸気改質  (じっしょうだんかい) 
超臨界−ガス化・油化 (開発研究段階) 
廃食用油 エステル化  (じつようじれいあり) 
生物化学的変換 剪定枝、古紙 メタン発酵  (じっしょうだんかい) 
食品廃棄物等 メタン発酵  (じつようじれいあり) 
農産(砂糖黍、コーン) エタノール発酵  (じつようじれいあり) 
木質系バイオマス エタノール発酵  (開発研究段階) 
畜産廃棄物(乳牛・豚のふん尿) メタン発酵(湿式)  (じつようじれいあり) 
畜産廃棄物(肉牛・鶏のふん尿) メタン発酵(乾式)  (じつようじれいあり) 
食品廃棄物 エタノール発酵  (じつようじれいあり) 
産業廃棄物(有機汚泥) アセトン・ブタノール発酵  (開発研究段階) 
生活系廃棄物(厨芥) 水素発酵  (開発研究段階) 

福島県 企画調整部 企画調整課
 
〒960-8670 福島市杉妻町2-16
電話:024-521-7129  FAX:024-521-7911
E-mail:
kikakuchosei@pref.fukushima.jp
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