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いわき市漁業協同組合 |
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江名町支所青壮年部 |
部長 高津 勲 |
1.地域及び漁業の概要
いわき市漁協は平成12年10月にいわき市内の7つの漁協が合併して設立され、平成16年現在、組合員数は535名、漁船数は485隻である。このうち、江名町支所の組合員数は110名で、磯根漁業、船びき網漁業、一本釣りなどを行っている。磯根漁業を行う者は、江名、中之作、永崎、下神白のいずれかの採鮑組合に所属しており、合計で60名にのぼる。なお、私は下神白採鮑組合に所属している。
2.活動グループの組織と運営
いわき市漁協江名町支所では平成元年に青年部が結成され、ホッキガイの漁場造成、先進地視察等の活動をしてきた。昨年4月1日に、青年部は小型船組合と統合されて青壮年部となった。現在部員は15名である。活動費は会費と漁協からの助成金で賄っている。
各々の採鮑組合では、アワビの種苗放流、1日の漁獲量の規制、身入りの悪い空ウニの優良漁場への移植など、資源の持続的利用のための取り組みを行っている。
3.活動課題選定の動機
近年全国的に問題となっている磯焼けが江名町支所内の漁場でも見られるようになった。磯焼けは進行が早く、漁場面積はどんどん減少してしまっている。将来の磯根漁業に不安を持つようになり、磯焼け対策として、ウニ人工種苗の放流数削減、養殖したコンブの投与による餌不足の緩和などに取り組んできた。しかし、最も重要なのは、多年藻であるアラメを増やして藻場を再生・持続させることだと考え、平成13年度から、アラメを人工採苗して漁場へ移植する活動を開始した。今年度は、後で述べるように、アラメ人工採苗以外の取り組みも強化した。
4.実践活動の状況及び成果
(1)アラメ人工採苗
コンクリート製の採苗板にアラメ遊走子を付着させて採苗し、アラメを成長させて漁場に移植することとした。
@平成13年度採苗
複数の地区で漁場に移植したが、残念ながら全て消失した。
A平成14年度採苗
中之作港内では、平成15年5月に中間育成を始めたアラメが、今年度になってからも確認でき、大きさは30p程度になっていた。このアラメを、7月に、近くの漁場に移植した。しかし、台風で時化が続いたためか、8月末にはアラメが確認できなくなってしまった。
B平成15年度採苗
今年度は飼育場所を一部変更したところ、流れの強い場所ではアラメの成長が良く、10p程度になったものもあった。水槽内でここまで成長したのは初めてである。
C平成16年度採苗
来年度の移植に向けて、11月に、永崎地先のアラメを母藻として人工採苗した。
(2)ウニの駆除と有効利用
永崎地区には、かつては県下一の生産性を誇っていたが、深刻な磯焼け状態に陥った磯がある。これはウニによる食害が原因ではないかと考え、平成15年11〜12月に約2トンのウニを駆除して、藻場の回復効果を調査することとした。なお、駆除したウニを処分するのはもったいないので、港内に畜養し、餌を与え成長させてから漁場に戻すこととした。
@ウニ駆除後の経過
6月の観察では、周辺部からのウニの進入が若干みられたものの、ワカメが広い範囲で濃密に茂り、アラメの芽も確認できた。漁期中にアワビ漁を行ってみたところ、昨年までは痩せアワビしかみられなかったものが、アワビの肉付きが回復していることが確認できた。また、一部取り残したウニの身入りも良好であった。このことから、ウニの駆除が磯焼け対策にとても効果があることを実感した。しかし、10月には、一部のアラメがウニやナンコの食害に遭い、消失してしまった。ワカメなど一年藻は夏以降に消失してしまうので、その時期に食害生物の食圧を抑える必要がある。11月には、周辺から漁場内に進入したウニ約700kgを漁場から駆除し、港内に畜養した。
これらのことから、一度磯焼けを起こしてしまった漁場では1年では元に戻らず長期間の取り組みが必要であると実感した。
A駆除したウニの有効利用
駆除後永崎港内で畜養したウニは、8月には約半数が移植用空ウニとして利用できる大きさになったので、来年の漁獲用ウニとしてウニ漁場に再放流した。
(3)漂着アラメの活用
@餌としての活用
私が所属する下神白採鮑組合の管内に、漁場から抜け落ちたアラメが大量に、しかも周年にわたり打ち上がる場所がある。ここの漂着アラメを、永崎地区のウニの餌として活用することにした。5月末に、初めて回収作業を行ったところ、アラメの量は、バンリョウで53杯であった。重量換算すると500kgは超えたと思う。回収したアラメは、永崎港内で畜養中のウニや、漁場のウニに餌として与えた。港内のウニに与えたアラメは数日間で食い尽くされ、ウニの食欲旺盛さを強く実感した。
漂着アラメの回収作業はその後も数回行ったが、台風などの時化後に大量のアラメが漂着した際は、アラメを天日干しし乾燥させたものを保存し、適宜港内のウニに投餌した。
A母藻としての活用
遊走子の放出を期待して、漂着アラメを陰干しした後玉ねぎ袋に入れ、永崎地区のウニを駆除した漁場に投入した。効果があるかどうかは確認できないが、少しでも藻場回復に寄与することを期待している。
5.波及効果
他の採鮑組合との情報交換が活発になった。また、海の環境保全意識が高まった。
なお、10月末に、長崎県の漁業者の方が視察に来た際は、我々の取り組みについて説明し、駆除したウニの畜養の様子など現地の案内を行った。
6.今後の課題
「アラメ人工採苗」については、少しずつではあるが技術が進歩している。今年度採苗したものは、流れが強い場所で飼育して成長させ、たくさんのアラメを漁場に移植したいと考えている。
「ウニの駆除」については、藻場回復にとても有効であることがわかった。県アワビ・ウニ増殖協議会長は「ウニを駆除した漁場を少しでも広げていければ」と言っていた。私も同感である。また、磯焼けの回復には長期間の取り組みが必要であることが分かった。今後は、駆除後に害敵生物の食圧を復活させないための工夫について、水産試験場とともに検討したい。
「漂着アラメの活用」については、今まで利用していなかった資源が有効に利用できて良かったと思う。漂着アラメの更なる活用に努力していこうと思う。
まだまだ取り組みは道半ばであるが、磯焼けの進行を食い止めて藻場を再生させることで、アワビや、いわきの特産品である「ウニの貝焼き」の生産を安定させていきたい。
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