土砂災害防止に関する募集作品 作文展

H14年事務次官賞

石川町立石川小学校4年(当時)柏原 悠さん

 

土砂さいがいの工事から学んだこと  

「ガタンガタン」「ゴーンゴーン」朝八時半になると大きな機械の音が聞こえてくる。ふつう暑い時に聞くといやな音に聞こえるけれど、私の家にとっては大へんありがたい音である。

 去年の七月十七日の大雨で近くの山から、土や砂が道を通って流れて私の家の車庫に入り、車四台が水につかり、土や砂にうまってから一年がすぎた。「車、車庫から出したかい。」ひどい夕立や台風の時など、おじいちゃんは今でも心配そうな声で必ず電話をかけてくる。土砂さいがいのこわさを感じたあの日のことはわすれられない。お父さん、お母さんも大変な一年だったけど、すぎてしまったことをくよくよしないでこれからのことを考えようとこの一年がんばった。

 五月二十二日から、私たち一家が待ちに待った土砂さいがいによるきん急道路保全工事が始まった。毎日、おじさんたちは、暑い中、排水口を作るために、一生けん命働いている。家の近くで工事をしているので、いろいろなことを知ることができた。

 特におどろいたのは、私たちみたいに、朝の会をしてから作業をしていることだった。現場かんとくさんが毎日、その日の作業内容をボードに書き、それを見ながら工事をするおじさんたちと交通整理をする人たちにとてもていねいに説明をしている。しんけんな顔で、でも、時々やさしい顔で。工事をするおじさんたちは、きっと仕事になれているはずなのに、毎日しんけんに話を聞いている。きちんとしたたいどで一生けん命話を聞いている。それが終わると準び運動までしている。

 工事の様子を見ていて、とてももったいないと思うことがあった。今の工事が始まる時に、野菜畑やお花がさいていた近所の畑をほらなければならなかったことだ。そうしないと水を流す排水口ができなかったのだ。それに工事の間にも考えられないことが起きたそうだ。昔、田んぼだった所の土をほっていたら「わき水」が出てきたらしい。そのわき水のために工事完成がおくれると、かんとくさんはこまっていた。でも「工事がおくれるとこまる人たちがいるのでなんとかがんばらなくちゃね。」と言って夜暗くなっても工事をしていた。計画通りにいかない中で、暑い中で本当に大変そうだった。自分たちのペースで仕事ができればもっと楽かもしれないのにめいわくをあまりかけないようにするために、朝と夕方のいそがしい時間をさけて、交通整理をしながら大変な思いをしてがんばっていた。

 作業の様子を見ていると、土砂さいがいのふっこう工事は自然とのたたかいみたいだけど、自然をやっつけるんじゃなくて自然のことをよく考えて、自然の特ちょうを生かし私たちのくらしに役立てようとしている。

 私だったら「暑いなあ。またこんな仕事しなくちゃいけないのか。つかれた、つかれた。」と文句を言いながら仕事をしそうだが工事のおじさんたちはそんな顔を見せない。朝は気持ちよく「おはよう」仕事が終わると「ごくろうさん」と私にも声をかけてくれる。「小さな工事かもしれないけど、私たちのようなわずかの住民のために大変なお仕事をしてくれていてすごいな。りっぱだな。工事現場のおじさんや交通整理の人たちの働きのおかげで、私の家は守られているんだな。」と思った。

 私がどこかへ出かける時も、いろいろな工事現場を通る。今までは車をまたせられて、いやだなあという気持ちだったけれど、今は工事をしている人たちに心の中で「ありがとう」を言いながら通っている。

 土砂さいがいが起きて、私の家ではとても大変だったけれど、そのおかげで友達が知らないたくさんのことを知ることができたみたいで、なぜか得した気分だ。










H14年事務次官賞

郡山市立西田中学校3年(当時)渡辺 友紀子さん

 

おそろしい土砂災害 

 私は小学校高学年の時に土砂災害を体験しました。その日は朝からずっと雨が降っていて、夜になっても雨がやみませんでした。あぶくま川は増水してその支流の川も水が溢れていました。私の家の側の溝も激しい水の音が聞こえました。いつもは、「ザーッ」という音なのにその日は、「ゴオーッ」という恐ろしい音でした。父は消防で見まわりに行きましたが帰ってきた時、学校の土砂が崩れたと言っていました。私は、たいへん驚き学校の土砂が崩れるなんて相当ひどかったんだな、と思いました。

 その雨で私の家の裏山も土砂が崩れてしまいました。家の中では崩れる音など何も聞こえなかったのに、朝裏庭を見てみたら、山の固まっていた土がドロドロになって流れこんでいました。そんな光景を目にしたのは初めてだったので、おもわず「うわぁ」と叫び、とても不安でどきどきしていました。その後山の斜面に、父がビニールシートをかぶせに行った時はとても心配でした。土砂が崩れた後は土がやわらかくなっているので滑ったり、転んだりして命が危険にさらされることもあるからです。その日、ビニールシートをかぶせたために、土砂がその後は崩れずに済みました。

 土砂が崩れた所は「もとに戻るかな」と思うくらい砂が落ちてきていました。上の方はべっこりとへこんでいて、下のほうで山ができていました。崩れた面積は、縦・横とも約十メートルぐらいでした。崩れた下には私の家があり、もっと大きく崩れれば、家がおしつぶされるところでした。土砂崩れとはとても怖いもので大きな力をもっているなと感じました。そして少しでも雨が降ると、一回崩れた土砂はすぐにまた崩れてしまうことが分かりました。

 私は土砂災害をテレビで何度も見たことがあります。家の中まで水や土が入ってきたり、車が沈んでいる所、うまった所、木が流されている所など、いろいろな状況が映し出されていました。私はみんなが無事でいられればいいな、と思っていましたがそれでもそんなに切実な思いは感じませんでした。でも、自分のうちで実際におこってみて、改めて土砂災害のおこった地域の人たちの気持ちを知ることができました。今回の体験で、とても大変で、怖くて、心配で、恐ろしくて、そんな気持ちになるんだなあと実感しました。

 普段は草が生えていて見なれた感じの景色なのに、雨が強く降り土砂崩れがおこると、一気に今までの景色が、大変怖いものに変わってしまうのです。水の音から雨の音、全てが怖くて恐ろしい感じで聞こえてくるような気がしました。私達は避難しなかったのですがやっぱり家の中にいても雨の音がして、雨がやむことをずっと祈っていました。

 怖い時に誰かに励まされると気持ちが落着きます。私もあの時母に、

「心配ないよ。大丈夫。」と言われて少し救われたような気持ちになりました。今でも私は、時々激しい雨が降ったりすると裏山が気になります。ビニールシートは外れていないか、他に崩れそうな所はないか、と自分の部屋から外をのぞいて確認するようにしています。

 どうやったらこの災害がなくなるんだろうと、この経験を基に考えてみました。がけ崩れや土石流を防ぎ、主に土砂が落ちてこないようにするためには、壁を作ったり砂防ダムを作ったりする方法があります。山の斜面では木を植えて崩れるのを防ぐようです。表面に植物を植えると、雨が直接がけにあたらないのでひびが入りませんが、植物がなければ雨があたってひびが入るということが分かりました。災害の多い所では、いろいろな工夫がされているということを私は学ぶことができました。

 土砂災害は、身近に起こります。私達の地域でも防災訓練が行われています。そのような訓練に積極的に参加したり、避難場所を覚えたり、危険な場所を確かめることは私達にできる、小さいけれど大事なことです。そしてそのような場面に直面した時は、私が誰かのために役に立つことができたらうれしいです。例えば、土砂災害にあった人たちの手伝いをしたり、言葉で励まし合うことです。こういうことでも少しは元気がでたり喜んでもらえると思います。今まで私はそれを自分からやることができず、逆にしてもらっていました。でも今回の土砂崩れのことで私は変われる気がします。そしてこれからみんなが助け合って協力していくなかで、少しでも土砂災害の被害が減って、悲しむ人がいなくなることを強く願っています。

 

 

受賞者一覧 

「福島の砂防」表紙