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福地主査、優秀賞受賞(森林計画研究発表大会)
福地主査、優秀賞受賞 2月7日から8日にかけて行われた第54回森林計画研究発表大会(主催:森林計画研究会、会場:東京都港区・虎ノ門パストラル)において、福島県代表の福地雅弘主査の発表が森林経営・技術部門の優秀賞を受賞しました。
福地主査は、県中農林事務所林業グループ所属で、発表課題は「木(ぼく)もったいないシステムの取組について」。
これは、古殿町内で行っている小径木間伐材の有効活用のシステムについて発表したもので、小規模所有山林の間伐推進につながる点が高く評価されました。
以下、発表内容について掲載します。
(2007/2/19)
 「木(ぼく) もったいないシステム」の取り組みについて
               −もうかる「間伐」知ってますか−
 
福島県県中農林事務所森林林業部 福地雅弘 
 
1 はじめに
 近年、小径材から利益を上げるのが難しくなり間伐の遅れている林分が多い。
 これは、当県の林業先進地であり、間伐対策を長年進めてきた石川郡古殿町でも同な傾向である。
 特に、農林家が行う自力搬出は収入が得やすく、この町の間伐推進にも役立ってきたが、最近ではそれすらも見られなくなってきた。
 そこで、その経緯等を調べるとともに課題を見いだし、解決策として農林家の収入、ひいては間伐推進に結びつく小径材の流通システムを構築し展開してきたので、これまでの経過について報告する。
2 地域の概要
 古殿町は、福島県中通り地方の南東部に位置する人口約6,400人の町である。
 林野率は81%と高く、また、7千haある民有林の人工林率は県内トップの76% となっている。
3 調査結果
(1) 古殿町の小径材流通価格
 間伐作業で生産できる材は、末口径が12cm以下とかの小径材が主になる。
 そこで、福島県内及び古殿町における小径材の流通価格等を調査した。
 この結果、規格や条件にバラツキがあるため単純比較はできないが、古殿町の買取価格が他と比較して低いことがわかった。(下表参照)
 また、古殿町には年間1万m3以上を加工する県内有数の小径材加工工場が2社あり、そこには隣接するいわき市の原木市場をはじめ全国各地から大量に低価格の小径材が入ってくる。
 これにより古殿町内の小径材価格が抑えられていると推察された。
 
            小径材流通価格等調べ





 
小径材買取価格 備考(2m材価格)

 
福島県内の他地域        7,500〜10,000円/m3 H14〜16(150〜200円/本)
古殿町内                3,500円/m3 H16(事例少ない、70円/本)
参考  

 
福島県内の平均素材生産費        10,253円/m3 林野庁資料(H15間伐)
地元木材加工工場の市場購入価格     5,000円/m3 H16(100円/本)   
(2) その他
 調査の結果、(1)の流通価格以外にも様々な課題のあることがわかった。
 地元農林家によると、かつては古殿町内の森林所有者の多くが自力搬出を行い、地元の素材生産業者に原木市場や工場まで運んでもらっていたが、現在では頼める業者が無くなったとのことであった。
 その他、他地域では自力搬出した材を森林組合が買い取りし、土場に一時保管して公共用などに販売している所もあるが、この古殿町内に森林組合の使える土場は無い。
 加工工場に農林家が直接販売するにも、県産材証明の関係から公共用に売れないためか、あるいは品質などでのトラブルを避けたいのか売るのが難しく、仮に売れても非常に安い単価のため、少量の取引に留まっているようであった。

 
 以上により、古殿町では自力搬出する農林家がほとんどいなくなった、と考えられた。
4 流通システムの構築
(1) 新システムとは
 今回の調査で明らかになった課題をヒントに新しい流通システムを構築した。
 新システムでは、まず古殿町内の農林家が、林内で規格材を造材・仕分けし、4t車の入れる所まで運び出して一定量になった段階で地元森林組合へ連絡する。
 次に森林組合では、その数量や所在地等を勘案しながら、トラックの空いてる時に検収・集荷する。
 これにより、道路脇のスペースや農家の庭先などを、一時保管用の土場とすることができ、さらに運搬手段も含め、いくつもの課題を解決することができた。
 この後、森林組合はトラックに満載した小径材を町内の加工工場に運び込み、加工工場では、ほぼ年中、量の制限無く定価で買取する。


 この買取条件により、農林家は農閑期など都合の良い時に材を搬出し、ほぼいつでも安定した価格で販売することが可能となり、トータルでの収益向上が図られる。
 かかる農閑期等の報酬は、普段なら収入が「0(ゼロ)」の時の報酬であるため、そのまま収益として計算できると考えられる。


 この場合、2m材1本100円で売っても物品費30円を除いた70円が収支計算上の利益、つまり儲けになる。
 また、3者間の取引は2m小径材を基本に、価格は農林家・組合間は100円/本、組合・工場間は110円とした。
 この加工工場における買取価格は、従来の直接買取より高い設定となるが、検収された材を原木市場での購入価格より運搬費分安く買えることから、十分取引可能な金額であり条件であると判断している。
 なお、この価格設定に際しては、林業普及指導員がすべてコーディネートし透明感を持たせた。
(2) 新しい流通システムの展開
ア 新システムの試行
 新システム展開前に行った2ヶ月間の試行では、農林家からの買入価格を100   円ではなく90円/本に抑えたが、約2千本の搬出があった。
イ 新システムのモデル化
 試行の結果を踏まえ、新システムの一部を見直すとともに、「木(ぼく) もったいないシステム」と命名し、現在、古殿町全域で展開している。
 昨年8月には、古殿町全世帯に別紙チラシを配布し、チラシの副題である「もうかる間伐知ってますか」と町の皆さんに呼びかけている。
 このチラシの裏面には、地元林研グループから寄せていただいた2人の体験談を載せているが、この2人のケースでは、ともに収入が「0(ゼロ)」の休日や時間帯での作業で現金が入っているので、そのまま利益となっているようである。
 また、実際に古殿町の農林家がどのような効率で作業し、どの程度の報酬が得られるのか調査した。
 下は54歳から上は76歳の4人の方に御協力いただき、間伐しながら小径木を搬出してもらい、1時間当たりの生産効率から労働報酬を積算した。
 その結果、1時間当たり1人平均17.8本の搬出があり、ここから予想される利益は1,330円になった。(下表参照)
 この時給額は補助金等を含めず計算しているが県の最低賃金の2倍以上の金額となっている。
 なお、生産効率は現場条件により大きく変化することから、この調査を今後も継続して行いシステム展開に役立てる予定である。
 
    ※単位労働報酬の調査結果
     ・一連の間伐作業の中で搬出した現場             
         時間給   1,780円(予想利益 1,330円)  
         日当(6H) 10,680円(予想利益 7,980円)  
           注)1 収益は補助金等を含めず計算している。   
            2 調査前に「間伐手遅れ林分」と聞いていたこの現場では完満な材が多く、伐倒木1本から2本から4本の規格材を              取ることができた。
 
ウ 搬出実績
 昨年度までの搬出実績は次のとおりである。
     ・搬出本数及び搬出者数                   
        平成17年3月〜4月(試行期間) :約2千本、 5人 
        平成17年9月〜18年5月    :約5千本、14人 
          注)すべて個人が出した実績で森林組合や素材生産業者が出したものは含んでない。
 
 なお、昨年9月からの取り組みでは前年の3倍のペースで搬出が進んでいる。
 さらに最近では、素材生産業の方からも「買い取ってほしい」との申し出や問い合わせが相次いでいる。
5 おわりに
 新システムの展開により、農林家の所得が向上するとともに山の手入れで金が入るとの意識改革が進み、間伐推進の大きな力になっている。


 これにより新システム展開前に立てていた個人による平成17年度間伐計画面積65haを、1.7倍の112haの実績にまで延ばすことができた。
 また、今年は搬出本数が増えているので、さらに間伐が進むものと期待している。
 現在、取り組んでいる「木(ぼく) もったいないシステム」は、搬出本数の増加に伴い品質の確保など、新たな課題が発生しつつあるが、今後はこの課題等をステップにシステムを進化させ、古殿町での取り組みを他の市町村の良きモデルとし、さらなる農林家の所得向上と間伐の推進を図りたいと考えている。

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