生産技術部


淡水魚種苗生産企業化事業
目的 1 ウグイ
 放流用種苗を生産供給し、湖沼・河川における増殖事業を円滑に推進する。

2 会津ユキマス
 養殖用種苗及び食用魚を生産、供給するとともに飼育技術について業者の指導を行う。
平成19年度の成果
1 ウグイ
・放流用種苗を生産、供給した。供給数量は飼育中に適水温で推移したことから1862.2kgとなった
・生産団体に対する技術指導を行った。

2 会津ユキマス
・孵化仔魚55万尾、稚魚(0.1g)15万尾、稚魚(0.5g)6万尾、食用魚820kgを供給した。
・養殖業者に早い段階から飼育させる目的で、孵化仔魚を2業者に55万尾供給した。
・養殖業者に採卵方法等に関し技術指導をした。
平成20年度の計画 1 ウグイ
・放流用種苗800kgを生産供給する。
・生産業者に対する技術指導を行う。

2 会津ユキマス
・仔魚(孵化仔魚)300,000尾、稚魚(0.1g以内)200,000尾、稚魚(0.5g以内)10,000尾、食用魚800kgを生産供給する。




モツゴ養殖技術の確立
目的  モツゴはコイ養殖業における副産物として、コイと混合飼育により生産されるが、その生産量は不安定である。その原因の一つとして本種が多回産卵で、産卵期間が長いことが考えられる。そこで、集約的な採卵方法を開発し、生産量の増大に資する。
平成19年度までに得られた成果
・集約的な採卵技術の開発を試みた結果、飼育環境中に産卵基質がないと産卵が抑制されることがわかった。
・4週間産卵を抑制することで短期間に大量に採卵できた。
・16時間電照による長日処理試験では産卵期の早期化はみられなかった。
・15℃に水温上昇させた試験では産卵時期の早期化はみられなかった。
平成20年度の試験研究内容
1 催熟技術の開発
 水温の変化による催熟を試みるため、自然光条件下でモツゴを水温条件別に3区の試験区で飼育し、それぞれGSIの変化及び産卵時期を測定する。

2 産卵調節処理が孵化仔魚に及ぼす影響の検討
 自然に産卵させた卵と産卵調節で集約的に採卵した卵との卵質を比較するため、両方の卵から得られた稚魚をそれぞれ無給餌で飼育し、飢餓耐性試験を行う。


フナ粗放養殖技術の開発
目的  フナを放流する漁協から県内産フナ放流種苗への要望が強いことから、種苗生産し粗放養殖技術を開発する。
平成19年度までに得られた成果  親魚の腹腔に体重1gあたり5IUの性腺刺激ホルモン(商品名ゴナトロピン)を注射し昇温することで効率的に採卵できることが明らかになった。
 平成19年度は5月から7月にかけて、3回の採卵で雌約793尾、雄約680尾を産卵に供し、養殖業者6業者に合計117万尾の孵化仔魚を出荷した。内水試飼育池では4万尾の孵化仔魚を放養し5ヶ月間の飼育の結果、50sの放流用種苗が生産された。
平成20年度の試験研究内容 1 親魚の確保を図り種苗生産を行う。
2 ホルモン投与による催熟が卵質に及ぼす影響を調査する。
3 より簡易な給餌方法による粗放養殖試験を行う





イトウ親魚育成技術の開発
目的  県内でのイトウの安定した種苗生産を実現するため、親魚の養成方法の改良等によるふ化率の向上を検討する。
平成19年度までに得られた成果
 雄の成熟不調がふ化率低下の原因と考えられることから、冬季から成熟期が終了する5月にかけての飼育水温を変える(河川水区、地下水区、混合水区)ことにより催熟方法を検討した。
 採精個体率、精子濃度、精子の活性の3つの指標をもとに成熟状況を評価した結果、冬季の水温が最も低下する河川水区が全般に高い値となり、かつ雌の成熟時期である4月下旬に近い時期においても成熟が継続しているものと思われた。
平成20年度の試験研究内容  再現性を確認するため、飼育水温の違いによる成熟状況調査を継続するとともに、ホルモン剤(ゴナトロピン、およびLH-RHコレステロールペレット)による催熟を検討する。
 採卵試験を実施し、種苗生産の成績を検討する。
※ イトウとは?
 イトウはサケ科イトウ属で、全長1m以上にも成長する日本最大級の淡水魚。北海道にだけ分布するが生息数は少なく「幻の魚」と呼ばれている。北海道や青森県で小規模に養殖が行われており、県内でも90年代から数業者が飼育していたが、採卵時のふ化率が低く、安定した種苗生産が困難であるため、事業ベースの生産には至っていない。
 近年、管理釣り場等での利用のほか、ホテル等観光業界からも有望な食材として注目されるなど需要が高まっており、新たな特産種とすべく県養鱒協会から、安定した生産技術の開発が要望されている。





高付加価値魚作出保存技術の確立(有用形質継代マゴイ)
目的  マゴイの雌は雄に比べ成長が早く商品価値も高いため、養殖業者から全雌魚の種苗生産の要望が強い。現在、コイ性転換雄の作出技術が開発されたことにより、コイ全雌魚種苗の生産が可能となっている。本研究ではマゴイ性転換雄を継続的に作出することにより、マゴイ全雌魚種苗の安定供給に資する。
平成19年度までに得られた成果  平成19年度は1gサイズの全雌魚5万尾を生産し、養殖業者に供給した。
平成20年度の試験研究内容
 マゴイ性転換雄を作出し、養殖業者にマゴイ全雌魚種苗の供給を行う体制を整備する。
・全雌魚10万尾を生産、出荷する
・平成18年度作出性転換雄について精子の搾出を行いホルモン投与方法の有効性を検討する






高付加価値魚作出保存技術の確立(有用形質継代マス類)
目的  養殖業者のニーズからイワナ、ヤマメ、ニジマス等有用形質を持った魚種の維持継代や地域固有種の保存等の必要性が高くなっているため、当場保有系群及び地方系群を継代する。
 また、高付加価値魚作出研究で作出された「バイテク魚」についても本事業で継代を行い、業者からの需要に応じて種苗の供給を行う。
平成19年度までに得られた成果  ニジマス、ヤマメ、イワナについて、系統ごとに継代した。
 民間業者に対して、ヤマメ性転換雄の精子を提供した。
 ニジマス3倍体魚についても、生産・供給の要望があるため、発眼卵を出荷するとともに、出荷用の稚魚を飼育中である。
平成20年度の試験研究内容
・サケ科魚類各系統(バイテク魚を含む)の継代
 (ヤマメ2系統、ニジマス3系統、イワナ2系統)
・ヤマメ、ニジマス性転換雄の作出
・ヤマメ性転換雄、ニジマス3倍体魚の供給
・ニジマス4倍体魚の親魚候補増産






高付加価値魚作出保存技術の確立(ヤマメ4倍体魚の作出)
目的  ヤマメについて、肉質が良く、成長が良好である3倍体魚を効率的に生産するために、4倍体魚を作出し、4倍体魚と2倍体魚(通常魚)との交配による3倍体魚の作出技術を開発する。
平成19年度までに得られた成果  平成19年度は3回の試験を通して、約54千粒の卵に圧力による4倍体化処理を行った。
 各試験での発眼率は1回目:対照区87.9%、試験区9.0〜20.5%(平均12.4%)、2回目:対照区80.8%、試験区2.9〜12.9%(平均8.4%)、3回目:対照区84.4%、試験区11.9〜20.9%(平均15.7%)であり、合計で6,475粒の発眼卵が得られた。
 得られた発眼卵について継続して卵管理を行った。12月中旬にふ化開始し下旬にかけて浮上を開始した。3回の試験を通して51尾の仔魚が得られた。(12月末現在)
 前年度に4倍体化処理を行って、生残した稚魚25尾について、ピットタグによる個体識別を行うと共に、4倍体化の検定を行ったところ、10尾が4倍体である可能性があると判定された。
平成20年度の試験研究内容
・3倍体魚の親魚となるヤマメ4倍体魚を作出するため、前年に引き続き、大量の受精卵の圧力処理を行う。
・平成19年度に4倍体化処理を行った魚について、赤血球長径と相対DNA量の測定による4倍体化の検定を行う。
・平成18年度に作出したヤマメ4倍体魚を用いて、4倍体魚の継代、全雌3倍体魚の作出を行う。






魚類防疫指導
目的  食品の安全性への関心が高まっていることから、養殖業者への防疫対策、魚病発生防止及び食品として安全な養殖魚の生産指導の強化を行うとともに、効率的な魚病防疫対策を進め、本県内水面養殖業の振興を図る。
平成19年度までに得られた成果 (1) 魚病診断件数については、平成16年以降減少傾向であるが、在来マスのせっそう病・IHNによる被害は継続している。また平成16年からはKHV病も発生している。
(2) 養殖業者に対して、定期的に防疫対策に関する巡回指導を実施している(年間20回程度)。
(3) ヤマメの県内放流種苗約10ロットについて放流前にウイルス病、BKD等の検査を実施している。
(4) 養殖場から検出された病原菌の薬剤感受性を調査し、この結果を基に薬剤投与の指導を実施している。
(5) 県内の養殖業者に対して魚病講習会を開催している。
(6) 水産用医薬品の適正使用の指導を実施している。
(7) KHV病対策のためコイの移動・飼育状況を調査した。
  KHV病検査(PCR) 平成19年度は24件検査し、6件陽性。
  防疫対策ならびにKHV病発生時の消毒方法を指導した。
平成20年度の試験研究内容  魚類防疫対策
 魚病の診断および対策指導、放流種苗検査
 薬剤感受性試験、魚病講習会
 水産用医薬品対策
 水産用医薬品適正使用指導
 新型伝染性疾病対策
   コイの飼育状況調査、KHV 病魚の検査
   種苗のKHV病検査、KHV病防疫対策の指導





アユ冷水病対策研究
目的  アユ冷水病の被害への対策を講じるため、放流種苗の中間育成時から放流、河川での漁獲時期まで連続して疫学調査を実施し、冷水病菌の感染経路を明らかにし、効果的な経路遮断方法について検討する。
平成19年度までに得られた成果  県内中間育成業者2業者について、巡回指導を実施した。飼育期間中の冷水病の発生はなかった。
 県内中間育成2業者7ロット、県外中間育成1業者3ロットについてPCR法により出荷前の保菌検査を実施したところ、保菌は確認されなかった。
 県外産(琵琶湖産)種苗2ロットについてPCR法により保菌検査を実施したところ、1ロットから冷水病菌の保菌が確認されたが、PCR-RFLPによる遺伝子型判定の結果、アユへの病原性が低いとされる遺伝子型B型であった。
 アユの河川内へい死魚等の診断依頼5件のうち、3件についてPCR法により冷水病菌の陽性が確認された。
 これらについてPCR-RFLPによる遺伝子型判定を行った結果、3件すべてがアユへの病原性が高いとされる遺伝子型A型であった。
産卵期のワカサギ1ロットについてPCR法により保菌検査を実施したが、保菌は確認されなかった。
平成20年度の試験研究内容 ・県内産人工種苗、他県産種苗、河川内の他魚種(ウグイ、ヤマメ、ワカサギ等)、及び河川水中の菌の有無を調査する。
・上記の検査、あるいは河川へい死魚等から検出した菌株について、遺伝子型によるタイプ分けを検討する。
・マニュアルを活用し、中間育成業者に対する指導を行うとともに、来歴カードの普及を行い、防疫意識の高揚を図る
            



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