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バングラデシュの青年海外協力隊員小松さんからの手紙

バングラデシュの水事情

日本では当たり前でも世界ではそうでないこともあります。

時あたかも世界中ではいろいろな環境問題が騒がれています。
ここバングラデシュでも例外ではなく、水に関する話題は近年特に深刻なものがあります。ここで、バングラデシュの水に対する私の主観的な意見を少々述べさせていただきたいと思います。

バングラデシュの水事情は、おせじにも良好とは言えません。この国では、毎年のように川の水があふれて洪水が発生します。しかし、残念ながら、これらの水は飲料水としてはほとんど活用されていません。理由としては、バングラデシュは日本とは異なり、国土が平坦で急流がほとんどないため、ダムの建設を行うことができず、水量調節ができないためと言われています。

しかし、元々、バングラデシュは暑い国で洪水が起きるために伝染病が非常に発生しやすく、さらに国民の衛生観念が低いことから、人々は池の水で水浴びや洗濯を行い、さらにその水で食器や果物を洗ったりします。そのために、昔は下痢症やコレラ等、水によって感染する伝染病が大変多かったのと同時に、女性や子供が水汲みのために毎日水がめをかついで何kmも歩かないと水が確保できなかったと聞きます。

これらの問題を解決するため、ユニセフ(国連国際児童緊急基金)が1970年から地下水の開発を行い、約1000万本に上る井戸が掘られました。しかし、その当時の地下水開発で現在のような水質検査は行われず、1983年にインド国内のバングラデシュ国境付近でインド政府がヒ素汚染を認識し、それから数年後、バングラデシュでもこの問題が深刻化してきたという訳です。

現在、日本では水道の普及率が96%にも上り、安全な水を飲めることが当たり前になってきました。しかし、バングラデシュでは首都ダッカでさえも水道の普及率は推定で60%程度と言われており、その水道水も日本の浄水システムと比べたらお世辞にも信頼性の高いものと言えません。

現在、バングラデシュでは、日本の援助により、ヒ素汚染対策の専門家を派遣し対策が検討されています。その調査の段階で水質汚染が顕著な井戸に対しては(写真1)のような赤いペンキが塗られてきました。


写真1

ヒ素の混入した水を飲み続けると皮膚ガンや肺ガンを発生する恐れもあり、これに関しては政府が様々な喚起を行って(おこなって)います。しかし、これでも村の住民にとっては大切な水源の1つであることに変わりはなく、かつ識字率(字の読み書きができる人の割合)が低いこの国ではこのような政府の忠告がどの程度の効果をなすかは疑問であります。

続いて、下水道事情について話を進めたいと思いますが、はっきり言ってこれも最悪です。街にはいたる所で下水道が通っているのを見かけますが、たまにマンホールのふたが開いたままになっていることもあり、危険極まりないという印象です。そして、その中を覗いて見るとほとんど水は干上がっており、その反面側溝には生ゴミまじりの濁った水がたまっています(写真2)。


写真2

そして、その水がやがては川に流れるため、川は常に濁っています。バングラデシュは人口密度が世界一高く、市街地では年々都市化が進んでいるにもかかわらず基本的なライフラインの整備はほとんど進んでいません。また、私の同僚の話では、工場の排水などもほとんど処理はされず川や海に垂れ流しにされているとのことで、この国の魚を食べ続けるうちに水俣病のような公害病が将来発生するのではないかと考えると恐ろしいものがあります。

日本でも下水道の整備は他の先進国と比べても極めて立ち遅れており、これについてはこれまで多くの関係機関が指摘してきたことであります。基本的に、環境問題は地球規模で取り組まないと良い方向へ向かうことは期待できません。上水に対する対策もままならないこの国で下水道にお金をかけるというのは容易なことではないと思いますが、バングラデシュも、他の先進国が経験したような大きな公害問題をおこさないうちに、環境問題に対して少しでも関心が持てるような国になることを期待したいと思います。

小松 俊之
(13年度2次隊 電気機器 矢吹町出身)

 
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