2007年4月、福島県に来て間もなく、県庁詩吟クラブの高橋先生に勧誘され、私は詩吟を学び始めた。
詩吟は、日本の伝統芸能の一つであり、漢詩や和歌などを独特の節回しで吟ずる(歌う)。吟詠、吟道とも言う。中国では、人々が古い時代から伝わってきた詩歌を宝もののように守り続け、子供たちは言葉を覚え始める時から漢詩を学ぶ。詩の朗読大会もあるけれど、感情を込めて中国語特有の変化に富むイントネーションで朗読するという形である。それに対し、日本の詩吟は、効果的に詩情を表現するため、詩文の素読(朗読)を基本とし、素読の後に特有のメロディ(節調という)を加えるようになった。
その吟詠の対象とするのは、主として漢詩であるが、和歌や俳句、新体詩を吟ずることも少なくない。ただし、あまり長いものは好まれず、漢詩の吟詠であっても七言絶句が一般的である。古詩が大好きな私は、詩吟を通して小さい時から馴染みのある名詩を再び味わった。遠い母国の山水へ思いを寄せながら、過ぎ去った物語を想像することで、詩人の心と通じるように感じる。その共通した気持ちを詩吟の迫力あるメロディで吟詠すると、とても爽快だった。日本の和歌と俳句も独特の洗練さと繊細さがあって、吟ずると日本の伝統文化を肌で感じることができたなあと思う。
詩吟の形と言えば、独吟といい、一人で吟ずるのが本来の姿であるが、複数人で順に吟ずる連吟や、合唱のように声を合わせる合吟といったかたちでの吟詠もよく行われている。また、無伴奏が基本であるが、琴や尺八による伴奏を付けることもあり、21世紀初頭には、あらかじめ録音されたCDによる伴奏も普及した。
今年2月17日に、県庁詩吟クラブの第31周年記念大会が杉妻会館で開かれた。約150名の参加者は日ごろの稽古の成果を発表した。今回初めての試みとして、詩のイメージに合わせて絵を描く「画道吟」を行った。詩吟のリズムに乗せて生け花をしたり、剣舞をしたりする「華道吟」、「剣舞吟」なども披露された。私も「黄鶴楼にて孟浩然が広陵に行くを送る」という李白の詩を発表した。この詩は小学校の時に学んだのだが、今度こそ、詩の言葉に込められた深い感情、詩人の懐かしさや恋しさをやっと分かるようになった気がする。
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