choubo  2005.3.10
交流員より
∴ 安 静
忘れられないこの一年間 百聞は一見にしかず 桜の啓発 Profile

忘れられないこの一年間
 日本の福島県に来てからあっという間にもうすぐ一年間になります。私の任期も終わりに近づいてきましたが、この一年間は私にとってとても充実した期間でした。初めての外国での生活、笑ったり、悩んだり、泣いたりして、一生忘れられない(わすれられない)思い出として、私の心に深く刻まれました。この一年間は福島の美しい自然に恵まれ、親切な職場の皆様に恵まれ、情熱的な日中友好団体の皆様に恵まれて、私はこれまで経験したことがないことをたくさん経験することができました。

 初めて福島に来た時、満開の桜、にぎやかな花見など春いっぱいの風景で、いっぺんで福島が好きになりました。海水浴場の歓声で迎えた夏、果物の香りが漂っている秋、静寂の猪苗代湖に白鳥が舞い踊る雪国の冬。うつくしま福島の四季は実に心を感動させる四季です。この一年間の福島の生活は私にとって、本当に幸せだとずっと思っています。更にこの美しい自然に恵まれている福島県の皆様の優しさ、親切さ、情熱さ、皆様の勤勉さはもっともっと私を感動させています。特に日中友好交流をしているたくさんの人々です。この日中交流への情熱を、正直、初めて感じました。この情熱は、私の心を揺さぶり、この感動はもう言葉で表すことはできません。
 一年間の生活を振り返って、日中交流活動から、日中友好団体の人々から、いろいろなことを勉強させていただきました。国際交流という仕事が何か難しいように思っていた私ですが、皆様の多くのご指導、ご援助を受けながら、活動する中で国際交流とは優しくて、豊かな心を持って身近な活動をすることなのだと理解できるようになりました。本当に楽しく、また内容のある経験でした。いままでの交流、本当にありがとうございました。日本と中国、そして、福島県と湖北省の友情が更に深まるように、これからも私なりに力を尽くしたいと思います。

 福島県や、福島県の皆様と別れるのは悲しいですけれども、「会う()別れの始め、別れ()会うの始め」という(ことわざ)があります。必ず再会できると思います。
 さようなら、美しい福島、さようなら、福島の皆さん。
 今まで本当にいろいろお世話になりました。誠にありがとうございました。
【文:安静】

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百聞は一見にしかず
 「日本のことを知っていますか?」「初めて日本に来てどんな印象を持ちましたか?」あるいは「日本に来てから困っていることがありますか?」などと聞かれることがよくあります。大学で4年間日本語を専攻しており、日本の文化や、習慣や風俗なども学びました。このような点からすればある程度日本のことを知っていて当然だと言えるでしょう。しかし、今回は初めて日本に来て、アパートに住み、生活をし、日本人の職場で仕をすることになり、落ち着いて本格的に日本社会のあらゆる面に触れることができます。そうしているうちに、これまで知らなかった日本をいろいろと発見するようになりました。

 百聞は一見にしかず。これまで海外で生活したことなどない私にとって、 4月からの日本での生活は本当に楽しく、 深く感じたこともいろいろとありました。 何に対してそんなに深く感じたかといえば、 何といっても「日本と中国の違い」 「日本人と中国人の習慣や考え方や付合い方などの違い」 です。 日本人の行動に対して、 海外生活が初めてである私には、 「はあ?なんでそんなことをするの? 」 といったことの連続でした。 この場を借りて、 その 「異文化(いぶんか)の体験」 のいくつかを紹介させていただきます。

 まずは来日直後の印象について話してみたいと思います。
 自分の目で実際に見なければ本当かどうか分かりません。日本は高いビルばかりだと想像していましたが古い家もたくさんあります。にぎやかな町ばかりでなく静かな町もあります。きれいな大通りもあれば狭い小道もあります。
 東京にも福島にも清潔な街と新鮮な空気のイメージを与えてくれる場所はありますが、鉄筋コンクリートの林立する、繁華な東京より福島の方がずっときれいでおだやかです。
 県庁の裏手を流れる阿武隈川畔は人々に親しまれている場所ですが、桜吹雪の中で流水のささやかな声を聞きながら立派に聳えている吾妻山を眺めると大自然の魅力に感動させられます。

 昔から日本と言えば外国人は富士山を連想します。これは静のイメージです。動いているイメージではどんなことを想像しますか。「あ!相撲ですね」と、答える人が多いでしょう。日本に来てそれだけじゃないことが分かりました。日本人が野球が大好きなことは日本に来たことがない人には想像することができません。日本人はテレビをつけて、まず野球のチャンネルを捜します。野球の話題がとても多いのです。野球は日本人に一番人気のあるスポーツだということが分かりました。
 それ以外にも勉強したり仕事をしたりすることも大切だと思われています。ですから日本人は一生懸命に働いているのです。
 日本に来て、私が一番感動したことは日本人の同僚の仕事に対する真面目な態度と仕事に身も心も捧げる精神です。ずっと前、中国にいた時、日本についての小説とテレビドラマで、日本人が勤勉で、真面目であることを少し知りましたが、中国では、日本人は働きすぎるという評論もありました。日本人は仕事に対して勤務時間を厳守し、強い責任感を持っていて、本当に仕事に一生懸命になっています。日本の社員は入社すると、仕事を生活の中心として、誠心誠意会社の為に働きます。日本に来て、このような日本人の仕事に対する姿勢をやっと自分の目で見ました。私はそのような様子を見て、非常に感動しました。私にとって、本当に学ぶ価値があると思います。仕事の終わる時間になっても、仕事を続ける姿をよく見ます。また、仕事で細かい点にもいろいろ気を配る点には、本当に感心させられました。私が福島に来たばかりのことでしたが、湖北省長訪問団のスタッフ資料を見て感心したことがいっぱいありました。例えば、見物順路図はもうはっきり示されていました。また、時間は何時何分に何をしてもらうか具体的に決まっていました。

 日本に来てから困っていることといえば日本人と中国人の考え方や付合い方などの違いです。その一つに、日本人は相手の気持ちを考えてハッキリとものを言わないことがよくありますが、中国人は自分の考えをハッキリと言うことが多いです。だから、「日本人は心で何を考えているかわからない」と中国人から言われ、「中国人はあつかましい」と日本人から思われることがあるかもしれません。
 また、日本人は小さい頃から他人に面倒をかけないようにと教えられていますが、中国人はもし仲良しの友達になったら友達の間でよく面倒をかけたりかけられたりします。これは友情の証拠なのです。面倒をかけられる人は自分が友達にとって大切な人間だと思って喜びます。日本人には納得できないことかもしれません。

 このようにいろいろと感じることはありますが、これは私が日本で生活してみて発見したことの一端です。国際交流は、お互いの国の「文化の違い」「習慣の違い」「考え方の違い」などを認め合ってこそ出来るものと私は考えます。私は国際交流員としての任期中に福島の皆さんとたくさん話し合って、心が近付くようにしていきたいと思います。違いによる摩擦が生じるかもしれませんが、正直な心、豊かな心があれば心が近付くと考えます。 私は日本に来て本当の日本を少し見た気がします。"百聞は一見にしかず"ということが本当によく分かりました。
【文:安静】

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桜の啓発
 中国で、桜を見たことがなかったわけではありませんが、そのときは、なぜか分かりませんが、桜の美しさをまったく感じませんでした。ですから、なぜ日本人がこんなに桜が好きなのか、すごく戸惑ってしまいました。

 福島に来た時、ちょうど桜が満開でしたので本当の花見ができました。
 満開のピンクの花の下をゆっくり散歩しながら、桜の匂いを嗅ぐ(かぐ)と、呼吸に伴って、さわやかな桜の匂いが血液に入り、そして頭の中に入り、体の隅々まで流れた感じがしました。いつの間にか、いつも頭の中にあり、捨てたいのに、どうしても捨てられない俗世間のわずらわしい事柄が、ぱっとなくなりました。頭の中に、桜のほかに何もなくなったようです。この数年来、毎日、何でも一生懸命やっているのに、一体欲しい物は何か、本当の目標は何か、はっきり分かりませんでした。しかし、桜の雰囲気のおかげで、一瞬にして、ぱっと分かるようになりました。心の底に本当に欲しいのは、桜のように満開なのに、穏やかで、単純な、自然の気持ちです。この数年来(すうねんらい)、なかなか見つけられなかった自分の素顔を見つけることができました。いろいろな回り道を辿って、やっと、再び本当の自分を見つけた嬉しさを、どのように表現すればいいか、分かりません。

 桜の花はきれいなのに、咲いている期間は短い。落花の桜の下を、散歩したとき全然違った気持ちになりました。柔らかい春風(はるかぜ)が吹いてきて、花びらが散々と舞い落ちてくる。やさしく、黙って、頭と肩を撫でて、大地に落ちます。目の前を雪のように、舞い落ちている花びらを見たり、目を閉じて、やさしく頬を撫でている花びらを楽しんだりしていると、いままで感じたことがない悲しさが心を占めるようになりました。「生命というものは、旺盛から衰弱に移る過程にすぎない。これは大自然の法則なので、誰にも変えらない(かえられない)」と、その時感じました。「輝かしい時に、穏やかな気持ちを保たなければならないと同時に、失意の時に、穏やかな気持ちを失わないことはもっと大事なことだ」これは私が、桜からいただいた啓発です。
 日本人もこういうことで、桜のことが好きなのでしょうか。とにかく、桜の中に深遠な人生意義が潜んでいます。ただし、心で体得しなければ、ここまで分からないと思います。
【文:安静】

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