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 第28回福島県建築文化賞 総評
第28回福島県建築文化賞 総評

 第28回の福島県建築文化賞に応募された作品の総数は、51件であった。
今回応募された作品の内訳をみると、公共と民間では、公共の建築物が24件、民間の建築物が27件であった。建築の用途別では、学校教育施設が15件と最も多く、次いで、福祉・医療施設等12件、庁舎・事務所等8件、文化・スポーツ施設等4件、商業施設等4件、リゾート・観光・宿泊施設等3件、工場等2件、共同住宅1件、複合施設1件、建築物群1件であった。また、応募作品の所在地を地域別にみると、中通り28件、会津方部14件、浜通り9件であった。
 今回の応募傾向は、民間の作品が全体の過半を超えたこと、学校教育施設が多かったこと、地域的には中通りからの応募が多かったこと、大規模な作品が比較的少なかったことなどがあげられる。
 第一次審査は、公開審査のもとに現地審査を行う作品の選考を行った。その審査方法は、はじめに各審査委員が全ての応募書、図面、写真を精査し、現地審査の候補として推薦したい作品を、8点以内で投票した。次に、審査委員の多くが投票して比較上位となった作品や少数の投票であっても強く推薦のあった作品を対象に各審査委員が改めて審議を行い、最終的に第一次審査を通過したのは12作品となった。その内訳は、民間建築物が5作品、公共建築物が7作品で、地域別には、中通りが5作品、会津方部が4作品、浜通りが3作品であった。
 第一次審査で選定された12作品については、9月上旬の3日間にわたって審査委員による現地審査が実施された。審査委員は、それぞれの作品について周辺環境との調和や建築物のデザイン、機能性など多方面から個別の評価を行い、それらの評価をもとに正賞・準賞・優秀賞候補として5作品、特別部門賞候補として3作品を推薦した。
 最終審査では、審査委員の評価結果をもとに正賞や準賞に値する作品の有無、推薦された作品の評価理由など改めて議論され、しばしば本賞の趣旨にまで遡る議論もなされた。また、推薦する作品同士が拮抗して、議論が白熱する場面があり、終了予定時間を大幅に超過する審議となったが、最終的には、全会一致で、本賞の規定どおり正賞1点、準賞1点、優秀賞3点、特別部門賞3点の受賞作品が選定された。
 ここに、今回選定された各賞の作品選評をまとめて報告するが、詳しくは受賞作品ごとの個別評を参照されたい。
 正賞には、7名の審査委員による真摯な審議の結果、最終的に現地審査の総合評価が最高得点であった『楢葉町立あおぞらこども園』が選ばれた。
 当該作品は、透明ガラスで作られたデッキテラスやトップライトから十分な自然光が入り、子供にあわせたスケール感と相まって光あふれる気持ちのよい空間を作り出している。
 準賞には、『御代田コミュニティセンター』が選ばれた。外観は、周囲の田園風景に溶け込むように自らの主張を抑えながら、内部は木造とスチールを組み合わせ、現代的な親しみのある空間を作り出している。
 優秀賞には、『MARUWA QUARTZ 三春工場 4号棟』、『よつばcafe』、『猪苗代町立緑小学校・屋内運動場』の3作品が選ばれた。
 『MARUWA QUARTZ 三春工場 4号棟』は、リニアで浮遊感のあるデザインやメタリックな仕上げで存在感を示しながらも、勾配道路によって作られる斜面の植栽と相まって工業団地の景観づくりに寄与している。
 『よつばcafe』は、住宅地にある小さなカフェである。道路より1段上げた床レベルが、北に広がる田圃を借景に居心地のよいカフェ空間の創出に成功している。
 『猪苗代町立緑小学校・屋内運動場』は、南側にオープンスペースを取り北側に教室を配置しているのが特徴で、オープンでフレキシブルな特別教室群と相まって落ち着いた学習環境を作り出している。
 特別部門賞には、『中島村生涯学習センター「輝ら里」』、『県営住宅八日町団地』、『移の丘のトイレ』の3作品が選ばれた。
 『中島村生涯学習センター「輝ら里」』は、図書館内部の高い天井が葉脈をイメージさせる大変ユニークな木架構となっているのが特徴で、温もりと清潔感が感じられる造りとなっている。
 『県営住宅八日町団地』は、雪国対策に積極的に取り組んだ作品である。降雪時にも歩行可能なように道路側に空地を設定するなど、利便性を高めながら景観にも配慮している。
 『移の丘のトイレ』は、南北の丘の稜線と片流れの屋根形状がうまく合致するように計画されて風景の中にとけ込んでおり、小規模ながらもシンプルでおおらかな空間を創出している。
 最後に、今回惜しくも選外となった応募作品ではあるが、地元の木材をふんだんに利用し、雪に対する様々な工夫の見られた『会津美里町立宮川小学校』、改修計画をランドスケープからサイン等細部にまで丁寧に行い、全体としての景観が保たれている『羽鳥湖高原レジーナの森』、周囲の自然を存分に取り込み、かつ、温泉地域全体の景観形成に対する配慮が見られた『玉ノ湯温泉 湯守 玉林房』、木造建築を通じて若手技術者に対する伝統技術伝承の想いや姿勢が強く感じられた『早島寺本堂及び日本道観楼門』は、各賞に選定された作品と拮抗するほど高く評価された作品であったことを付記する。

                            審査委員長 古市 徹雄

 総評のダウンロードはこちら(PDF:228KB)


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