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| 第28回福島県建築文化賞 講評(個別評) 1 正 賞 楢葉町立あおぞらこども園 本作品は、幼稚園と保育園の一体化の先駆けとして取り組んだ施設であり、町内の2幼稚園と2保育園を統合したものである。運動場に向かうデッキテラスを介したプレイルームと保育室のL字型の配置は、園児達の交流の規模に従い、様々な活動を柔軟に受容する空間構成となっており、異年齢交流や集団活動を巧みに誘導している。 子供達が内外を自由に行き来するデッキテラスは、ガラスの屋根で覆われており、室内へ十分な自然光が入る。また、テラスからの光が届かない奥の空間には、トップライトを設け、十分な自然光が行き渡る気持ちの良い空間が作られている。 プレイルームは、天井を低く抑え園児に適度なスケールを与え、トップライトのある空間は、思い切り天井を高くし、空間にドラマチックな変化を与えている。また、県産杉材の使用,太陽光発電の他,採光,通風面も考慮している。さらに、収納、スケール、コーナー、照明など細部まで幼児の世界を丁寧に設計している。 このような施設では、静と動とのアクティビティが見渡しのよい空間で同時に起こるため、それらを見越した動線や居場所を配慮しておくことが求められるが、これらの配慮がさりげなく計画されているのは設計者と管理者が入念な協議を重ねた結果であろう。 大小様々な配慮や工夫が、総じて園児達の健やかな成長に必要なのびのび・いきいきと活動する空間づくりに寄与している点を高く評価するものである。 2 準 賞 御代田コミュニティセンター 本作品は、周囲をのどかな田園に囲まれた地区集会場である。配置計画、平面計画から空間の隅々まで神経が行き届いた秀作である。配置は既存道路の逆側に計画道路が通るため、両面型の構えが求められることに対して、広場、盛土、通学路、将来の変化への対応等、工夫がされている。 外観は、周囲の田園風景に配慮するように主張を抑えやや地味な印象を与えるが、内部は木造とスチールを組み合わせ、現代的で親しみのある空間を作り出している。北側のトップライト、無双窓、雪見障子、欄間の換気窓など、自然の光や風に配慮し、その仕掛けを意匠として表現している。但し、これらの窓や設備機器の扱い方などが直接的であり、意匠的にもうひと工夫をすると更に洗練された建築になると思われる。 地区懇親会を開催して、住民の意見を取り入れ、気軽に立ち寄れる施設を提案したという設計者の意図からは、シンプルなプランながら、様々な要素を検討し利用者への多様な使用に応えようとしていることが伺え、総じて利用者にとって居心地が良く、親しみ易い作品となっている。 3 優秀賞 MARUWA QUARTZ 三春工場 4号棟 本作品は、工業団地内の石英ガラス製品の製造工場である。工場として生産ラインや必要とするクリーン度の変化等をそのまま受け止めるリニヤーな形状の要請に対して、工場ならではのローコストの条件のもと、折板で覆われた浮遊感のあるデザインで、工業団地自体のイメージをも刷新する力を感じさせる。 形態のシンプルさと長さを活かして、パースペクティブにゆったりデザインされた芝生による植栽帯やアッパーライトで浮かび上がる夜景は街並みを一変させ、夜道を歩く人々にも優しいあかりを提供するであろう。このことが単調になりがちな工場団地の景観づくりに寄与している。 4 優秀賞 よつばcafe 本作品は、静かな田園地帯の住宅地にあるカフェである。壁の漆喰の白さとシンプルな構成は街並みに映え美しく、外から内へと連続させた会津産杉材の木壁に人が引き込まれるよう計画されている。また、床を地上から1メートル上げることで、北側の田園風景を借景とした居心地の良いカフェ空間を作り出している。それ程広くないカフェながら、テラスと連続させた室内は開放感があり、居心地良い。 漆喰と木との取り合い部に一抹の不安もあるが、小規模ながら存在感を持っており、無駄のないシンプルで明快な構成がカフェの運営とも合致している。 5 優秀賞 猪苗代町立緑小学校・屋内運動場 本作品は、少子化や建築物の老朽化に伴い、近隣の小学校を統合して新築されたものである。外観は、木製ルーバーを連続させたリズム感と温かみのある構成により学校の印象を特徴づけている。内部にも県産材を多用し、木質に白い壁や天井を組み合わせて明るい。また、アルコーブや体育館に旧体育館の床材を使用している。厚みのある無垢材は、使い古されたとはいえ新建材とは比較にならない風合いを持って五感に優しく温かく圧倒するものがあり、学校の思い出の継承が図られている。配置において、建築物が校門に迫っているため、子供たちを受け止める雰囲気が弱いように感じられるが、教室棟は、南側にオープンスペースを取り、ハイサイドライトのある教室を北側に配置し、巧みな断面計画により自然光をうまく取り入れる計画になっている。 6 特別部門賞 中島村生涯学習センター「輝ら里」 本作品は、村の新たなコミュニティの場として新設された公民館・図書館・アリーナ機能をもつ複合施設である。隣接する幼稚園とも素材・デザインを意識して計画され、街並みを形成している。 村の生涯学習センターとして、全体構成は上手く計画されている。公民館エリアは奥深く、やや暗い空間となっているが、エントランスホール・展示スペース・コモンスペース・木製テラスと連続する空間は、気持ち良い。また、図書館の天井は葉脈をイメージさせる木架構となっており、天井には県産杉材をふんだんに使用するなど、温もりと清潔感が感じられる造りとなっている。 7 特別部門賞 県営住宅八日町団地 本作品は、既存団地内に建て替えされたRC造3階建ての公営住宅である。公営住宅という性質上ゆとりある設計が困難な中,コミュニティスペースや光庭も考慮されている点が優れており,生活者の視点に立った設計となっている。また、雪国の大きな問題である駐車場等の雪処理や降雪時にも歩行可能なように道路側に空地を設定していることなど、雪対策を十分意識した造りになっている。それだけに,二つの棟を繋ぐ,1階の渡り廊下や2階の空中歩廊が通路としての機能だけで終わってしまったことは残念であったが、公営住宅としては今までに無い試みが行われており、既存の公営住宅の概念よりも、一歩前進した作品となっていると言えよう。 8 特別部門賞 移の丘のトイレ 本作品は、山の斜面を切り取って造成した土地につくられたグラウンドを利用する人達のためのトイレである。かつての斜面の記憶を呼び覚ますかのようにシンプルな屋根の勾配は、注意深くかつての斜面に合わせられている。前方の山の斜面とこの勾配屋根が連続する風景は造成のむなしさを訴えているようである。トイレがやや閉鎖的な点が気になるが、県産材の積極的使用や、光と風を取り込む工夫等々、使用する地域の人々が愛着を持てるような建築を造りたい、という意気込みが伝わってくるような作品である。公衆トイレというそれ程、見向きもされなかった小さな建築がこのように思いを込めて、丁寧に作られていることは評価できる。 (※優秀賞、特別部門賞については順不同) 講評(個別評)のダウンロードはこちら(PDF:292KB) |
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