農作業事故・人のふり見て我がふり直そう 〜農林水産省農作業安全対策等推進事業により調査した全国の事例から〜

トラクター 

トラクタの転落により死亡 ビニールハウス内、歩行型トラクタでバックし挟まれ、死亡
作業機に挟まれ、死亡 トレーラーに挟まれ、死亡
トラクタの片ブレーキで、死亡 コンバインにひかれて、腰を骨折
トラクタが後方転倒し、死亡 スピードスプレヤーで首を挟まれ、死亡
田植機から転落して、骨折 一時停止をせず、交通事故
トラクタが側方転倒、安全フレームで軽傷 コンバインに巻き込まれ、腕を切断
サイロ内酸欠死亡事故 管理機の積み降ろし時に、重傷
ベーラーへ巻き込まれ死亡事故 刈払機による顔面打撲
畜舎内での転倒による軽傷 刈払機による失明

●トラクタの転落により死亡
【事故の状況】
 1月下旬(木)12:30頃、男性Aさん(50才)がトラクタを運転して修理工場から自宅へ戻る途中の農道で、路肩から水田に転落、トラクタの下敷きになって死亡。
【事故の背景】
 修理工場と自宅の間はいつも通る道であり、道路の状態も熟知していたはず。しかし、修理が予定より長くかかり、家に帰る時間が昼となり、空腹感もあって、数日前に降った雪が融けて路肩が弱くなっていることまでは気がつかなかった。
 対向車がきたので避けるために路肩へ寄ったところ、路肩が崩れて2m下の水田に転落し、ハンドルで腹部を打った。対向車の運転手が救急車を手配するとともに助けたが死亡した。
【事故対策】
安全フレームをつけていれば死亡はしなかったと思われる。大雨の後や降雪時の路肩強度に注意する。

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●作業機に挟まれ、死亡
【事故の状況】
 8月下旬(火)14:00頃、男性Nさん(48才)は動力噴霧機に水を入れるため、乗用トラクタのタイヤに乗っていたところ、足が油圧操作レバーに触れ、上昇した動力噴霧機と安全フレームの間に挟まれ死亡。
【事故の背景】
 トラクタ搭載型の動力噴霧機の蓋の位置は高いので、脚立を使用して給水することになっている。Nさんは脚立を持ってくるのが面倒で、トラクタのタイヤに乗って作業をしていた。背伸びをして水の量を確認しようとしたところ、浮いた足で油圧操作レバーに触れ、挟まれた。
【事故対策】
給水する時は脚立を使用する。水の量が外から確認できるタンクを使用する。

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●トラクタの片ブレーキで、死亡
【事故の状況】
 10月下旬(金)17:10頃、男性Dさん(26才)は県道交差点で信号のためブレーキを踏んで停止しようとしたところ、トラクタが急旋回転倒し、下敷きとなって死亡した。
トラクタの片ブレーキで、死亡【事故の背景】
 Dさんは稲収穫後の水田で耕耘をした後で、左右ブレーキペダルの再連結をしないまま道路走行した。当日は婚約者と会う約束があり、急いでいたためブレーキの再連結を忘れ、片ブレーキになったと思われる。また、安全フレームも装着していなかった。
【事故対策】
 「心ここにあらず」状態での作業は避ける。また、安全フレームがついていれば死亡までには至らなかった。






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●トラクタが後方転倒し、死亡
【事故の状況】
 4月中旬(日)17:15頃、男性Eさん(61才)は水田で代かき作業中、トラクタが後方転倒(後輪を軸に、前輪が浮き上がり後方に反転する現象)し、頭部が水中に没し、窒息死した。トラクタが後方転倒し、死亡
【事故の背景】
 Eさんは土曜の午後と日曜日で6区画の水田の代かきを行っていた。最後の田で、作業が終わりに近づいたとき、トラクタでぬかるみにはまって脱出不可能になった。代かき板も潜ったため、作業機をはずしてアクセルを強く踏んで脱出を試みたが、その瞬間にトラクタは後方に転倒し、トラクタの下敷きとなった。
【事故対策】
 ぬかるみにはまった時は自力脱出をあきらめ、他の車に引いてもらうこと(牽引点をなるべく低くし、超低速で引くこと)。また、決して作業機を取り外さないこと。安全フレームをつけていれば転倒しても死亡しない。

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● 田植機から転落して、骨折
【事故の状況】
 5月上旬(祝日)14:05頃、男性Gさん(55才)は田植え作業中に田植機から転落して車輪にひかれ、右足を骨折した。
【事故の背景】
 Gさんは乗用田植機を使って作業を行っていた。運転中、苗を補充しようとして運転席から身を乗り出し、補助苗載せ台から苗マットを取ろうとした。そのとき、田植機が窪みで傾いたため、足が滑って転落し、車輪にひかれた。
【事故対策】
 苗補拾の時は必ず一旦止まる。田植機は圃場表面の凸凹によって、左右にゆれることがよくある。田植え作業は足回りが滑りやすくなっていることを忘れてはいけない。

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● トラクタが側方転倒、安全フレームで軽傷トラクタが側方転倒、安全フレームで軽症
【事故の状況】
 5月中旬(土)11:45頃、女性Bさん(43才)は牧草畑で肥料散布中、車輪が切り株に乗り上げ転倒し、肩と腕を強打した。しかし、安全フレームをつけていたので、3日間の通院治療ですんだ。
【事故の背景】
 Bさんの作業はあと1行程を残すだけであった。夫より一足先に家へ帰り、昼食の準備をすることが念頭にあり、作業への集中度は低下していた。
 現場は8度程度の傾斜面で、連続転がりの恐れもあったが、安全フレームがついていたため側方へ転んだだけで止まった。また、転倒時にハンドルにしがみついていたので打撲だけですんだ。
【事故対策】
 安全フレームまたは安全キャビンを装着する。作業終了間際は集中力が低下し「見えているけれど見ていない」 状況になっていることが多い。転倒しそうになったら逃げ出さずハンドルにしがみつく。

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●サイロ内酸欠死亡事故
【事故の状況】
 4月上旬(木)5:30頃、男性Cさん(32才)はサイレージ取り出しのため、タワーサイロに入ったが、サイロ内の酸欠により意識を失って倒れ、死亡した。救出に入ったDさんも意識を失ったが、まもなく回覆した。
【事故の背景】
 当日はCさんの長男の入学式で、いつもより仕事の時間が短くなっていた。事故を起こしたサイロは前年の秋に牧草を投入し、発酵が進んでいた。通常は慎重な行動を取るCさんであったが、時間の制約でいきなりサイロに入った。また、Dさんは「酸欠」に気づかず救出に入ったが、外気との交換もあって意識を失っただけで助かった。
【事故対策】
 牧草用だけでなく、穀物用も含めてサイロに入るときは「酸素欠乏・有毒ガス」を念頭において作業にかかること。慎重な人でも、忙しいと「石橋を叩く」ことを忘れてしまう。

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●ベーラーへ巻き込まれ死亡事故
ベーラーに巻きこまれ死亡事故【事故の状況】
 5月下旬(火)16:20頃、男性Wさん(48才)はロールベーラーに全身を巻き込まれ圧死した。
【事故の背景】
 トラクタの運転はQさんに任せ、Wさんは新規に導入したロールベーラーの調節をしながら牧草を梱包する作業をしていた。拾い上げ部への草の食い込みが悪くなったので、つま先で食い込み部を蹴飛ばしたところ、急に動き出し作業ズボンの裾が絡み、そのまま体全体がロールベーラーに巻き込まれた。Qさんが悲鳴に鷺き、作業機を止めたが、その時にはもう遅くWさんの体は一周回っており、押しつぶされていた。
【事故対策】
 機械の調整は、エンジンを止めるか、PTOを切って行う。点検・調整する部分が動かない措置をしてから作業を行う。

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● 畜舎内での転倒による軽傷
【事故の状況】
 2月上旬(火)21:30頃、男性Bさん(72才)は牛のお産を手伝うため畜舎内を小走りで作業していたところ、滑って転倒、後頭部を2針縫った。
【事故の背景】
 事故当時の外気温は−13℃、畜舎内でもコンクリート床面の温度は0℃近くまで下がり、床面の水が凍りかけていた。お産が近づいたので、暖かい居間から防寒具もつけずにゴム長靴を履いて畜舎へ入り、ポケットに手をいれたまま走った。凍りかかった水溜まりで滑った。ゴム長靴の裏は滑りにくい断面になっていたが、ワラや家畜のフンで目づまり状態となっており、滑り止めの効果は失われていた。
【事故対策】
 高齢者は平衡感覚が低下しているので、足元の状態に注意する。くつろぎ衣のまま作業に取りかからない(作業衣に着替えることで緊張レベルを高めることが出来る)。履き物は滑りにくいものとし、作業後は必ず洗っておく。

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●ビニールハウス内、歩行型トラクタでバックし挟まれ、死亡ビニールハウス内、歩行型トラクタでバックし挟まれ、死亡

【事故の状況】
 6月上旬(日)11:00頃、男性Pさん(65才)はビニールハウス内で耕耘作業中、歩行型トラクタのハンドルとハビニールハウスの柱に挟まれ、胸部圧迫で死亡した。
【事故の背景】
 いつもは長男Mさんが乗用トラクタで耕耘するが、不在のためPさんが使い慣れている歩行型トラクタを使って耕殺した。ビニールハウスの隅まで耕転しようと、バック耕耘牽制装置をはずしてバックしたところ、ハンドルが跳ね上がり、そのまま体が持ち上げられ、後方の柱に押しつけられた。昼食になっても帰宅しないため、家族が様子を見にいったところ、既に死亡していた。
【事故対策】
  歩行型のトラクタや管理機は、バック時に必ずハンドルが跳ね上がる。走行クラッチをつなげる時はエンジンの回転を少し落とし、走り始めたら元の回転に戻して作業する。またバックする時は必ず後方の安全を確認する。

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● トレーラーに挟まれ、死亡トレーラーに挟まれ死亡
【事故の状況】
 9月中旬(月)18:10頃、男性Hさん(63才)は歩行型トラクタにトレーラーをつなぎ、下り坂を走行、左折しようとしたところ、トラクタが逆方向に曲がり、トラクタとトレーラーに挟まれ全身打撲で死亡した。
【事故の背景】
 Hさんは稲の収穫に備え、稲架け用材料を載せて農道を走っていた。下り坂で、左折しようとして、左のサイドクラッチを切ったため、平坦地での曲がり方とは逆(左側の抵抗がなくなり早く回る)に右へ急旋回した。トレーラーは荷を一杯積んでいたので、そのまま前進し、ジャックナイフ現象を起こした。
【事故対策】
 歩行型トラクタでは、下り坂でサイドクラッチを切ると、クラッチを切った方と逆方向に旋回することを理解して、操作する必要がある。

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●コンバインにひかれて、腰を骨折

【事故の状況】
 9月下旬(日)13:45頃、女性Rさん(60才)はバックしてきたコンバインに押し倒され腰を骨折、リハビリを含めて9ケ月間入院した。
【事故の背景】
 Rさんは長男が運転するコンバインの後をついて、刈り残しの穂や落穂を拾っていた。方向転換の時に、バックしてきたコンバインに押し倒され腰を骨折した。Rさんは地面だけを見ていたため、コンバインとの距離が十分でないことに気がつかなかった。
【事故対策】
 コンバインにバックブザーを取り付ける。コンバインとの正確な距離を保つように気をつける。

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●スピードスプレヤーで首を挟まれ、死亡
【事故の状況】
 7月下句(土)5:20頃、男性Kさん(46才)は、梨園でスピードスプレヤーを使って防除作業中、梨の枝に首を引っかけ死亡。探しにきた奥さんに発見された。
【事故の背景】
 Kさんは風が吹かない早朝に防除作業を行っていた。後方の散布状況に注目しすぎてスピードスプレヤーの進路が左に寄ったことに気づかず、斜めに伸びている技に首が引っかかり、そのまま意識を失った。体がつっかい棒のようになったため、スピードスプレヤーはその場でまもなくエンストしたようであるが、送風機用エンジンは回転していたので、その付近の梨には薬害も発生した。
【事故対策】
 果樹園内の防除は後方を振り返りながら作業することが多いが、旋回時だけでなく、直進中でも前方に十分注意しなければならない。

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● 一時停止をせず、交通事故
【事故の状況】
 年8月中旬(土)12:30頃、女性Jさん(54才)は3輪後ハンドル型の運搬車に、収穫した野菜をのせてT字路にさしかかったところ、直進してきた乗用車と接触、運搬車と共に跳ね飛ばされ重傷を負った。
【事故の背景】
 現場は前方優先道路で、Jさんの側には一時停止の標識も立っている。しかし、昼もだいぶ回っていたので、Jさんは昼食が遅くなることが気がかりであった。そして、一時停止するのに自分が確認できるまで運搬車を交差点の中まで進入させた。また、エンジンの音が大きく、自動車の音が聞き取れなかった。
【事故対策】
 交差点では一時停止の線の手前で止まる。通い慣れた道でも安全の再点検をする。昼食前・3時の休憩・夕方は作業への集中力が低下することを認識しておくこと。

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● コンバインに巻き込まれ、腕を切断コンバインに巻き込まれ、腕を切断
【事故の状況】
 10月上旬(木)16:30頃、男性Fさん(64才)はコンバインのワラづまりを取り除き中、急に回転したカッターにより手首を切断した。
【事故の背景】
  作業中カッター部に詰まりが生じ警報が鳴った。警報停止スイッチを押して、コンバイン後部に回り、鎌を使ってワラを取り除いていた。ワラのかたまりを取り除いたとたんカッターが回転を始め、鎌とともに右手が巻き込まれ、手首を切断した。切断された手首の縫合手術をしたが、切断面が複雑で機能的に回復しなかった。
【事故対策】
 点検・調整はエンジンを止めてから行う。

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●管理機の積み降ろし時に、重傷

【事故の状況】
4月下旬(日)9:20頃、男性Fさん(63才)は歩行型管理機をトラックから降ろそうとして、ハンドルで胸を打ち、手を離した時に機械が体の上に落ち、全治3ヶ月の重傷を負った。
【事故の背景】
 Fさんは、山の中の畑で、野菜を栽培をしていた。管理機はかご車輪をつけており、歩み板を使ってトラックからバックで降ろそうとしていた。荷台とあおりの段差の部分にかご車輪の爪が引っかかり、そのためハンドルが持ち上がり胸を打ったため手を離したところ、管理機が体の上に落ちた。
【事故対策】
 高齢のため瞬間的な対応が鈍くなったり、体力も衰える。ゴム車輪の場合には少ないが、鉄車輪の場合には時々このような事故が起こるので注意。積み込みも積み降ろしも前進で行う。

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● 刈払機による顔面打撲
【事故の状況】
 6月中旬(土)18:30頃、男性Nさん(58才)は家の周りの草刈り作業中、刈払機のハンドルを取られ、ハンドルで顔面を強打した。
【事故の背景】
 Nさんは、畦の草刈りを終わり、自宅近くの路面と生け垣の雑草を刈り取っていた。生け垣の上(地上2mくらい)に木の枝が伸びており、以前から剪定しなければ、と思っていた。チェンソーでやれば安全だが「たった1本だから」と思い、刈払機で切ろうとしたところ刃が枝に負け、ハンドルが引き上げられ、その勢いで顔面を強打した。
【事故対策】
 刈払機は腰より低い位置の草を刈るように設計されている。顔よりも上のものを刈るようなことは極めて危険。「たった1本」、「あと1行程」が事故を起こす。

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●刈払機による失明
【事故の状況】
 12月中旬(水)16:40頃、女性Sさん(60才)は、鎌で草刈り中、近くで作業していた長男の刈払機が跳ね飛ばした石が、左目に当たり失明した。
【事故の背景】
 長男は刈払機で県道脇の法面の草刈りをしてた。Sさんは左後方3mにいた。草刈機には飛散防護カバーがついていたが、作業者の方向に飛んだ場合にのみ有効である。それ以外の方向にいたSさんに石が跳ね飛び、事故になった。
【事故対策】
 刈払機の周囲10m以内には近づかないようにする。共同作業の場合は、直接機械を操作しない人でも、顔面・すねなどを防護具で守ること。また、作業前に、石・空缶など危険物を排除しておくことも大切。

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