福島県
うつくしま農林水産情報ネット
福島県のホームページへ農林水産部のホームページへ

戻る次へ
農業振興課 農業担い手課 環境保全農業課 農業経済課 金融共済室
 
 
資産査定の留意点(その2)
 
 
 1 全体を通した留意点
 

@ 棚卸資産、仮払金、立替金、固定資産、外部出資等も資産査定の対象とする。

 自己査定は全資産が対象です。上記勘定についても資産査定規程に基づき査定する必要があります。
 

A 実質同一債務者は名寄せし、区分を同一にする。

 法人にかかわるものは当然として、家計が同一の場合は、同居しているか否かに関わらず実質同一債務者として査定します。ただし、同居していても家計が異なれば、それぞれに査定しなければなりません。
 

B 最終査定結果を一次査定担当部署をはじめ組合全体の情報として共有する。

 要注意先以下(要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)の債務者は、各セクション一体となって管理してください。特に破綻懸念先以下の債務者への購買未収金による購買品の供給等には十分留意する必要があります。
 

C 人事異動により新しく資産査定業務に携わる職員に対する研修を充実する。

 本店主導による研修会の充実など、資産査定の基本的理解に努めてください。(特に経済部門から信用部門への異動など)
 
 
 2 区分の留意点
 

@ 簡易査定先以外の全ての債務者について債務者概況表を作成する。

 査定は全ての債務者が対象です。そのためには、簡易査定先を除いた全債務者の収支の状況、年齢等が明示された債務者概況表の作成が不可欠となります(貸出先が正常先である根拠を債務者概況表により示すことが大切です。延滞が発生していないからといって、正常先であるとは必ずしもいえません。)。
 なお、要注意先以下の債務者概況表は毎期の見直しが必要であり、正常先についても毎期の査定毎に見直しをするのが理想的です。
 また、貸出実行時に債務者概況表を作成しておくと、正確な数値の把握、査定時の事務軽減が可能になると思われます。
 

A 貸出条件緩和先に対し適切に査定する。(※条件緩和先とは、既往負債が償還できず新たな資金を融資しなければ延滞となっていた先、業況が悪化した債務者の償還軽減を図る目的で償還途中に貸付条件の変更(元金優先入金、金利の減免、最終償還期限の延長等)をおこなった先をいう。)

 これらの貸出先は、貸付実行・貸付条件変更時では少なくとも要注意先です。その後の査定では、貸出金の延滞の有無のみに着目した査定ではなく、貸出先の収支の状況、販売高の推移、購買未収金・当座貸越等を含めた債務の推移等を踏まえて査定することが大切です。加えて、特に注意を要する先については、定期的に正確な業況の把握をし、営農改善計画を樹立させるなど適正な管理を行ってください。
 なお、貸付実行・貸付条件変更後、償還方法が月払であれば1年、年払であれば2〜3年(ただし、主な収入源が何かなどにより異なります)程度状況をみて、業況が好転し今後の償還に懸念がないものについては、正常先とすることができます。
 

B 償還の原資が通常収入ではなく、土地の売却代金であるものは破綻懸念先以下とする。

 資金使途からみて土地の売却代金を原資とするのが当然である貸付以外で、通常収入での償還が困難で、資産の切り売りにより償還している者、または計画している者は、少なくとも破綻懸念以下の区分となります。担保余力の有無、資産保有の状況は区分決定の要因ではありません。
 また、すでに売買契約が締結されているなど売却が確実で、売却代金による償還後の残債が通常収入で償還できる者は正常先とすることができます。
 なお、主たる業務が不動産業である債務者については、直近の決算書等を徴求のうえ、収支の状況等により判断してください。(事例Dに準じます。)
 

C 担保余力があるという理由は区分を決定する要因ではない。

 担保余力は区分を決定する要因ではありません。通常収入での返済が不能であれば破綻懸念先以下であり、その者に係る処分可能見込額はII分類(優良保証・担保により保全されている額は非分類)とするのが適切です。
 
  非分類 II分類 III分類 IV分類
要注意先 優良保証・優良担保処分可能見込額 その他    
破綻懸念先 一般保証回収可能額・一般担保処分可能見込額 その他  
実質破綻先・
破綻先
優良担保・一般担保の評価額と処分可能見込額の差額 その他
 

D 事業主である貸出先においては、財務諸表等から業況を総合的に判断する。

 事業主に対する貸出後は、必ず毎期決算書・税務申告書等を徴求し、それらをもとに経営の健全性を判断し査定してください。
 

E 短期貸付金の貸出先を適切に査定する。

 短期貸付金の元利書換えをする債務者は、少なくとも要注意先以下です。元金同額の書換えや元金に比較しごくわずかな額を内入れする債務者についても、実質元金延滞と同じ状況なので、債務者の業況を正確に踏まえた上で査定する必要があります。
 短期貸付を実行する場合は、当該貸付が資金使途・債務者の業況からみて本来短期貸付になじむものかどうかを判断することが大切です。
 なお、短期貸付金の使途が事業資金である場合は、その貸付が正常な運転資金であるかどうかを踏まえ査定してください。(「正常な運転資金」とは企業が営業を続けていく上で、日々の決済資金として反復継続して使われる運転資金です。これらは通常、固定化するおそれがないため正常なものと判断されます。ただし、債務超過である債務者の運転資金は決済資金であっても正常な運転資金とは認められません。)


F 個人債務者が死亡、行方不明となったことのみをもって、一律破綻先とはとらえない。

 「破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事案が発生している債務者をいい、例えば、「破産」、「清算」、「会社整理」、「会社更生」、「民事再生」等の事由により、経営破綻に陥っている債務者をいいます。
 
 
 3 分類の留意点
 

@ 債権全額を名寄せする。

 販売関係勘定(預託家畜・導入家畜仮払金・利用未収金・販売仮渡金等)、他支店・購買店舗にある貸出金・購買未収金(特に複数の組合員コードを有する者に注意)も忘れずに名寄せしてください。
 

A 保証人の保証能力を踏まえ適切に査定する。

 人的保証を査定に反映するには、保証人への債務状況の告知と代位弁済等の履行条件の確認経過等や保証人の履行能力を判断できる調査結果等、客観的な分類根拠に基づくことが必要です。
 

B 農業信用基金協会保証の免責事由に該当する貸出金、解約返戻金を超えた共済担保貸出金等、優良保証・担保で保全されていない額は非分類ではない。

 
 
 4 担保評価の留意点
 

@ 担保評価表を作成し、担保価格の算出根拠を明確にする。不動産担保の再評価を行う。

 担保評価表は貸付実行時に作成し、破綻懸念先以下の担保評価については毎期見直さなければなりません
 なお、抵当権設定後の登記簿謄本については、人事異動、監査、検査、そして日常の債権管理のためにも、抵当権設定後の登記簿謄本を徴求し管理することが必要です。
 また、貸出実行後も定期的に不動産登記簿を徴求・閲覧することにより、担保物権の把握、債務者の情報収集等に努めてください。(第二抵当、第三抵当等を確認することにより、他金融機関に対する負債の状況を把握できます。)
 

A 土地の評価根拠を整備する。

 取引事例による場合は、その対象となる土地取引の詳細(時期・地目・面積・形状等)が確認できるもの、倍率法の場合は固定資産の課税台帳(名寄帳)と倍率表を整備してください。
 なお、路線価を用いた場合は、土地の形質による個別の補正を行ってください。
 

B 建物を適正に評価する。

 築後間もない建物については、建築価額からの合理的な減価または固定資産税評価額により評価します。法定耐用年数を経過した建物については、現況を確認のうえ、処分可能性を十分検討して評価してください。処分可能性を十分検討しないまま、固定資産税評価額で評価することは認められません。
 
 
 5 償却・引当の留意点
 

@ 一般貸倒引当金の計上

 一般貸倒引当金は、正常先に対する債権および要注意先に対する債権について、原則として信用格付の区分、少なくとも債務者区分(正常先、要管理先、その他要注意先の区分)ごとに、過去の貸倒実績率または倒産確率に基づき、将来発生が見込まれる損失率(予想損失率)を求め、原則として信用格付の区分、少なくとも債務者区分(正常先、要管理先、その他要注意先の区分)の債権額に予想損失率を乗じて予想損失額を算定し、予想損失額に相当する額を貸倒引当金として計上します。
 ただし、合理的な方法により算出された貸倒実績率に基づき算定した貸倒見込額が租税特別措置法第57条の10により算定した額を下回る場合で、同法により算定した額を繰り入れる場合は、合理的な方法により算定したものとみなされます(「農業協同組合、農業協同組合連合会、農業協同組合中央会及び農事組合法人の指導監督等(信用事業及び共済事業のみに係るものを除く。)に当たっての留意事項について」−事務ガイドライン− 4-3-(1)@)。
 ここで、租税特別措置法第57条の10により算定した額とは、法人税税務申告書別表11(1の2)「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」の「7 公益法人等・協同組合等の繰入限度額」に記載すべき額のうち、法定の繰入率による場合の額そのものをいいます。この場合、破綻懸念先以下に対する債権のうち個別評価金銭債権に該当しないもの(いわゆる「有税引当分」)については、計算上、個別貸倒引当金と一般貸倒引当金を重複して繰り入れることとなりますが、それで構いません。
 

A 破綻懸念先のIII分類額に対する個別貸倒引当金の計上

 破綻懸念先に対する債権の引当金については、原則として債務者ごとに合理的と認められる今後の一定期間における予想損失額を見積もり、予想損失額に相当する額を貸倒引当金として計上します。
 予想損失額の算定方法はいくつかありますが、ここではIII分類の債権額のうち合理的に見積もられたキャッシュ・フローにより回収可能な部分を除いた残額を予想損失額とする方法について説明します。
 キャッシュ・フローとは、「当期利益に減価償却費など非資金的項目を調整した額」で、農家の場合には概ね次のようになります。
キャッシュ・フロー=農業所得(農業収入−農業経営費)+農外収入−家計費等−支払利息
 ただし、この算式によってキャッシュ・フローを見積った場合であっても、過去(概ね3年間)の償還実績がこの見積額に達しないような場合には、合理的な見積もりとはいえません。債務者の状況が好転したとして過去の償還実績以上のキャッシュ・フローを見込む場合は、その事実が客観的に明らかでなければなりません。また、過去の償還実績により見積もる場合には、債務者の経営状況・家族状況等に今後著しい変化の生じる見込みのないことが前提となります。
 合理的に見積もられたキャッシュ・フローにより回収可能な額として見込めるのは、原則として今後3年間、経営改善計画等が策定されている場合は今後5年間です。
 なお、一定金額以下の破綻懸念先に対する債権について、グループごとに同一の予想損失率を適用し、予想損失額に相当する額を貸倒引当金として計上することもできます。この場合には、予想損失率の算定は厳格かつ明確でなければなりません。
 

B 実質破綻先、破綻先のIII・IV分類額に対する個別貸倒引当金の計上

 債務者ごとに、III・IV分類とされた債権額全額を個別貸倒引当金として計上するか、直接償却します。
 

C 棚卸資産に対する償却・引当

 棚卸資産は、まず、価値の毀損の危険性の度合いに応じて分類します。棚卸資産に計上後1年以上経過したもの(在庫の必要性のあるものを除く。)は、原則としてII分類とし、期限切れのもの、品質低下等で減額すべきもの、販売処分できないものはIV分類とします。
 IV分類とされた部分は、損失見込額として直接償却(棚卸差損計上)します。
 

D 外部出資に対する償却・引当

 外部出資は、貸出等債権と同様の考え方により、価値の毀損の危険性の度合いに応じて分類します。
 ただし、株式については、非分類株式(政府出資または格付BBB以上)、子会社・関連会社株式、その他有価証券の株式の区分に応じて分類します。その他有価証券の株式のうち、実質価額が帳簿額を下回っている場合は、実質価額相当額を非分類とし、帳簿額と実質価額相当額の差額に相当する額をII分類とします。ただし、その株式の実質価額の低下状況等に基づき、実質価額相当額を非分類とし、帳簿額と実質価額相当額の差額に相当する額をIII分類とすることができます。そして、時価が著しく下落(概ね50%)したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、その時価と取得原価または償却原価との差額をIV分類とします。市場価格のない株式について、その株式の発行主体の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下(概ね50%)したときは、その実質価額と取得原価との差額をIV分類とします。
 なお、価値の毀損の危険性がない場合であっても、組合の事業と関連性の薄いものおよび出資目的が達成されたと認められるものについては、原則としてII分類とします。
 債務者区分が破綻懸念先以下とされた外部出資については、貸倒引当金と同様の方法により予想損失額を算定し、III分類とされた部分のうち予想損失額に相当する額を損失見込額として引当金に計上し、IV分類とされた部分を損失見込額として直接償却します。
 株式についても同様に、III分類とされた部分のうち予想損失額に相当する額を損失見込額として引当金に計上し、IV分類とされた部分を損失見込額として直接償却します。
 
 また、公益法人に対する出資のうち外部出資として計上できるものは、その公益法人の定款に出資金の返還または譲渡についての規定がある場合に限りますので留意してください。
 
 
福島県のホームページへ 農林水産部のホームページへ 戻る 次へ