子どもの虐待対応フローチャート
 
3 関係機関の連携・協力
(2) 関係機関の役割
1 児童相談所
 2 福祉事務所(家庭児童相談室)
 3 児童委員・主任児童委員
 4 保健所・市町村保健センター等
 5 保育所・幼稚園・学校
 6 児童福祉施設(児童養護施設・乳児院等)
 7 医療機関
 8 警 察
9 弁護士・弁護士会
  10 家庭裁判所
 
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1 児童相談所
   児童相談所は、児童福祉法第15条により、児童福祉の第一線の専門機関として、都道府県・指定都市に設置されています。県内には、中央・会津・浜の3つの児童相談所がそれぞれ、福島市、会津若松市、いわき市に設置され、郡山市には、中央児童相談所の分室が設置されています。
 児童相談所には、児童福祉司、心理判定員、保育士、医師(精神科、小児科など)などが配置され、ケースワーク機能、判定機能、一時保護機能、措置機能、家庭裁判所への法的申し立てなどの機能や権限を持っています。
 子どもへの虐待の相談や通告を受けた場合、関係機関や通告者との連携を密にして子どもや家庭の状況について調査を行い、必要に応じて心理判定や医学的診断などを実施して、総合的な判断に基づいて処遇を決定します。
 子どもの虐待ケースの対応では、児童相談所は中心的な役割を担います。児童相談所が行う主な援助は次のとおりです。
   
 
【1】 相談調査・立入調査
   子どもの虐待が行われているおそれがある場合は、児童相談所の職員などが子どもの住居に 立ち入って必要な調査をしたり、保護者に質問することができるとされていますが、その保護 者と児童相談所の職員との間に信頼関係が形成されていなければ、その後の援助活動に支障が 出てくるため、児童相談所ではできる限り家庭訪問というスタイルをとっています。
 なお、必要な場合は、警察官と一緒に立入調査を行うことになります。
   
【2】 一時保護
   子どもを緊急に保護する必要がある場合や子どもの行動観察、生活指導が必要なときには、一時保護をしたり、児童養護施設、病院、警察などに一時保護の委託を行ったりします。
 この一時保護は、児童相談所長の権限で保護者の意向に反して行うことも可能ですが、でき る限り保護者の同意を得る努力をしています。
   
【3】 施設入所措置等
   処遇方針に基づき、子どもやその保護者を児童福祉司、児童委員に指導させたり、児童福祉施設入所、里親委託により処遇します。
 施設入所等の処遇(措置)は、できる限り保護者の意見を十分聴き、その同意を得た上で行っていますが、それが困難な場合には、家庭裁判所の承認を得て行うこともできます。
   
【4】 親権喪失の申し立て
   子どもを虐待する保護者などがあまりに無謀で、児童の福祉が守れない場合、児童相談所長から家庭裁判所に親権喪失の申し立てをすることができます。
   
 
 親権とは、親の子どもに対する権利であって、親子関係という身分上の権利です。過去においては、親権はともすれば親本位の権利とされたのに対し、現代においては、児童の福祉を守りかつ向上させるために親に信託された権利であり、児童の福祉本位に考えられるべきものと、大きく変わってきています。したがって、親権は、親の持っている権利という意味でとらえるより、親が子どもに対する第一次の責任者として、誠実にその監護教育にあたる義務であるいったほうが適切です。
(「児童福祉法の解説」抜粋)
   
   
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2 福祉事務所(家庭児童相談室)
   福祉事務所は、生活保護、児童家庭、高齢者、障害者等に関する、地域住民の福祉を図るための総合的な社会福祉行政機関です。県内には、各市にそれぞれ設置されており、町村については、6つの社会福祉事務所が所管しています。
 ここには、社会福祉主事が配置されており、経済的困窮や、障害、病気、老後の生活などに関する相談のほか、子育てや家族関係の相談も受け付けています。
 また、福祉事務所には、家庭における子どもの健全育成、家庭と児童の福祉の向上を図ることを目的として「家庭児童相談室」が設置され、家庭相談員が配置されています。子どもの性格や生活習慣、知能や言語の発達、学校生活、家庭内のことなど家庭や子どもに関する相談に幅広く応じています。
 専門的な心理検査や診断を必要とする場合や子どもの虐待などが疑われる場合には、福祉事務所は児童相談所と連携して対応します。したがって、地域住民や児童委員、主任児童委員、その他の機関が子どもの虐待を発見した場合、福祉事務所(家庭児童相談室)にも相談することができます。
   
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3 児童委員・主任児童委員
   児童委員(民生委員が兼務)は、担当地区の子どもや妊産婦について、つね日ごろから家庭や生活環境の状況を把握し、その保護、保健その他福祉に関し、必要な援助や指導を行うなど、児童福祉の増進に努めています。
 近隣との交流が少なく、孤立しがちな家庭には児童委員が相談相手となったり、親同士のつながりをつくったりします。また、病気や生活苦、子どもの非行などの困難や問題を抱える家庭に対しては、適切な情報を提供したり、サービスを提供する機関につなげたりします。
 平成6年からは、子どもの福祉に関する事項を専門に担当する主任児童委員が設けられ、児童委員の活動を援助したり、関係機関との連絡調整を行ったりしています。
 子どもの虐待を発見した場合、また、子どもの虐待の発見者から児童相談所等への通告の仲介を依頼された場合、児童委員は主任児童委員と連携して、できる範囲で家庭状況等を的確に把握し、速やかに児童相談所や福祉事務所(家庭児童相談室)に通告します。
 現在、県内には児童委員が約4,500名、主任児童委員が約300名います。
 地域の児童委員がわからない場合は、市町村の児童委員担当係に問い合わせてください。
 なお、児童委員、主任児童委員には個人のプライバシーの保護に配慮することが義務づけられていますので、安心して相談することができます。
   
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4 保健所・市町村保健センター等
   保健所は地域の保健・衛生の広域的・専門的・技術的拠点であり、市町村保健センター等は地域住民に身近な立場で、住民に対する健康相談や保健指導、健康診査などの多様なニーズに対応した保健サービスを総合的に提供しています。
 保健所ではアルコール、薬物依存の問題や精神障害など精神保健面の援助も行っているので、問題を抱えている家族の育児や生活援助に幅広く対応します。多くの問題を抱えた家族を総合的に援助する際には、保健所との連携がたいへん有効です。
 また、低出生体重児(未熟児)や障害、疾病をもった子どもに関しては、保健所が中心となって医療などの援助を行います。発育や発達に不安があると、育児の負担が大きくなり虐待などの危険性も高まりますので、保健所の援助は特に重要となります。
 市町村保健センター等は、母子保健の基本的なサービスを行っていますが、母親の妊娠中からのさまざまな相談や母親学級、新生児訪問、乳幼児健康診査などをとおして、子どもの虐待を発見できることが多い立場にあることを、十分認識しておく必要があります。
 また、健康診査は、子どもの発育や、ことばや心身機能の発達などの問題を発見するよい機会であり、健康診査を受けていない親には、必ず連絡して家庭訪問を行う必要があります。健康診査や家庭訪問などで援助が必要と感じられた子どもや家族には、必要に応じて児童相談所等とも連携しながら、継続的な援助を行うこととなります。
   
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5 保育所・幼稚園・学校
   保育所や幼稚園、学校は、子どもたちが家庭から離れて集団生活する場であり、子どもが安心して過ごすことのできる所であるとともに、虐待の発見、虐待の防止ができる場としての役割を果たしています。
 特に保育所、幼稚園は、母親を中心とした親との接点も多く、虐待の第一発見者になる場合が多くあります。子どもの虐待を発見した場合は、速やかに、児童相談所や福祉事務所(家庭児童相談室)に相談することが重要です。
 虐待をしてしまう多くの親は、家庭や子育てに不安や悩みを抱えています。保育所や幼稚園では、親の気持ちを理解してあげることや相談相手になって親の精神的負担や不安を少しでも軽くしてあげることも必要です。この場合、決して親を非難するのではなく、虐待をしてしまう理由やその背景をできる限り把握し、親を支えるという視点で関わっていきましょう。
 学校は、児童生徒が学校の中で安心して生活できる状況をつくり、話しかけやすい雰囲気をつくることが大切です。虐待を受けている児童生徒に気づいたときには、担任、養護教諭、スクールカウンセラー等が個別 の教育相談を行うとともに、児童相談所や福祉事務所(家庭相談室)に相談することが必要です。
 子どものSOSのサインは、弱々しく間接的だったりします。日ごろから虐待への関心を持って接することが必要です。
   
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6 児童福祉施設(児童養護施設・乳児院等)
   虐待などにより子どもが保護者のもとで養育されることが困難なときに、児童相談所は児童福祉施設入所の措置を採り、子どもに生活の場を提供します。児童福祉施設には、保育士や児童指導員などがいて、日常の生活場面でのきめの細やかな配慮により子どもの心の傷を癒(いや)し、成長を援助します。また、児童養護施設の中には、虐待を受けてきた子どもたちに心理的な治療を行う心理療法士が配置されている施設もあります。
 児童養護施設や乳児院などは、親のいない子どもを預かる施設というイメージがありますが、最近では親のいる子どもの入所が多くなっています。これは、近年、虐待など家庭環境等の理由から社会的支援が必要な子どもが増えていることを示しています。
 親から虐待を受けた子どもは、身体的な傷だけでなく心にも深い傷を負っています。施設は、入所してきた子どもに対して、安心して生活できる場、守られているという実感をもてる場を提供していくことが必要です。虐待を受けた子どもは、しばしば問題行動を起こすことがありますが、できる限り受容的に関わることが必要です。
 なお、保護者からの同意が得られず、家庭裁判所の承認を得て児童福祉施設に入所した子どもに対する施設長の監護権は、保護者の監護権に勝ることになります。保護者からの強引な引き取りには、児童相談所に相談するとともに、警察の援助を得るなどして断固とした態度で臨むことが必要です。
   
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7 医療機関
   病院は、けがや病気、栄養障害など身体の症状を治療するほかに、心の健康についても治療的な役割を果たしています。
 診療の場では、明らかな虐待や虐待が疑われる事例がしばしば発見されます。虐待が疑われる場合には、児童相談所に通告し、関係機関と協力しながら援助活動を行います。病院では、子どもの早期治療を行い、生命に危険がある場合や症状が重症な場合は、すぐに入院させます。また、特に生命に危険がない場合でも、在宅では子どもの安全が確保できないと思われるケースには、入院を勧めることが大事です。
 虐待の対応には、医療の専門性に加えて、法律やソーシャルワーク等の専門性も必要です。病院によっては医療相談室があり、地域の社会資源の活用についても熟知している医療ソーシャルワーカーが、さまざまな相談に応じたり、地域の機関を紹介してくれたりします。
 また、他機関の専門家が病院と連携しようとするときには、病院の医療ソーシャルワーカーに相談することも有効です。
 子どもが退院した後、虐待が心配される場合には、児童相談所や保健所、市町村保健センターなどと協力し、継続的な援助に努めます。
   
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8 警 察
   警察は、虐待を受けている子どもの保護や、暴行、傷害などの犯罪に該当する虐待事案の捜査を行います。
 警察は、家から逃れてきたり、家に帰れずにいる子どもを発見、保護したときや、非行や不良行為の背景に親による虐待が疑われ、保護者に引き渡すことが不適当な場合は、児童相談所へ通告を行います。
 また、家庭内で子どもの身の安全が脅かされているような時や、児童福祉施設に対して保護者等が強引な引き取りを要求した場合、連絡を受けた警察はすみやかに援助を行うことになります。さらに、虐待をしてしまう親が関係者に危害を加えるおそれがある場合は、警察は関係者の身の安全を守る役割も担っています。
 子どもの虐待に関する相談は、主に、警察本部少年課の少年相談電話(024-521-4141・4142)、県内各警察署の生活安全課(係)で受け付けています。
   
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9 弁護士・弁護士会
 

 弁護士は、法律の専門家として相談にのるほか、法律的な手続きに関してさまざまな実務を行います。
 

子どもの虐待問題については、子どもの人権を守るうえで、弁護士による法的側面 からの積極的な援助が要請されており、弁護士会としても、関係機関と連携し、子どもの虐待に関する啓発活動、救済活動に努めています。親族や児童相談所が虐待をしている親から子どもを守るため、親権喪失の請求や施設入所の承認の申し立てなどを行う場合、家庭裁判所への手続きに関与するほか、法的助言を行います。一方、虐待をしている親からの依頼を受けた場合には、子どもの人権を守る立場から、慎重な配慮が望まれます。
 子育てが困難になる背景に、夫婦間の問題やサラ金などの経済的問題、その他の争いがある場合、問題の解決には弁護士の助力が必要になることもあります。相談には高額な費用がかかるイメージがありますが、さまざまな制度や配慮もありますので、各弁護士や県弁護士会に相談してみてください。

   
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10 家庭裁判所
   家庭裁判所は、家事事件と少年事件を専門に担当する裁判所で、家族や親族に関する様々な問題(未成年者の養子縁組の許可や後見人の選任、親権喪失等)について、調査、調停や審判を行うだけでなく、無料で家事相談も行っています。
 子どもの虐待については、家事事件として、親権を乱用し虐待をしている親に対し、親族や検察官、児童相談所長からの申立てにより、親権喪失宣告の審判を行ったり、子どもを児童福祉施設に入所させる承認の判断をします。
 子どもの福祉を図るために、裁判所の審理はできる限り早く行われる必要がありますが、事件によっては相当の日数がかかることもあります。この間、緊急に子どもの安全を確保する必要がある場合は、審判前の保全処分(仮処分)の申立てをすることもできます。
   
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