子どもの虐待対応フローチャート
 
1 虐待を疑ったときの判断

(1)

どのようなことが虐待なの
  1 子どもの虐待とはどのようなことでしょうか?
  2 虐待にはどのような種類があるのでしょうか?
  3 なぜ虐待が起こるのでしょうか?
 
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1 子どもの虐待とはどのようなことでしょうか?
   18歳未満の子どもに対する、親または親にかわって養育にたずさわる大人等が行う不適切な関わりで、子どもの心や身体を傷つけたり、健全な成長や発達を損なう行為を言います。生命に危険のある暴行などに限らず、たとえあざや骨折が生じていなくても、子どもを殴ったり、蹴ったりすることや、明らかに不適切な養育をしたり、ことばによる脅かしなどによって、子どもに危険が予測されたり、子どもが苦痛を受けているような場合も含みます。
 虐待は子どもの人権侵害であり、子どもの心身の成長や人格形成に重大な影響を及ぼす行為です。児童虐待の防止等に関する法律(以下、「児童虐待防止法」という。)第3条では、「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。」と定めています。
   
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2 虐待にはどのような種類があるのでしょうか?
   児童虐待防止法第2条で、以下の4つの行為類型として定義していますが、実際の虐待のケースでは、それらが単独で行われることは少なく、いくつかの行為が重複していることが多く見られます。
 また、以下の【3】と【4】は親や大人が無意識に行っていることが多く、その対応には注意が必要です。
 さらに、自分で虐待をしていると気づいていてもどう対処していいか分からず、解決を焦るあまり、子どもとの関係を悪化させ、同じ行為を繰り返したり虐待がエスカレートしてしまう場合があります。
   
 
【1】 身体的虐待
〜児童の身体に外傷が生じ、
   又は生じるおそれのある暴行を加えること。〜
   子どもを殴る、蹴る、投げ落とす、熱湯をかける、首をしめる、溺れさせる、逆さづりにする、タバコの火を押しつけるなどの身体的な暴行を言います。
 また、縄などにより身体を拘束する、冬戸外に閉め出すなども含まれます。
   
【2】 性的虐待
〜児童にわいせつな行為をすること
    又は児童をしてわいせつな行為をさせること。〜
   子どもに性的な行為やいたずらをすることをいい、強要して子どもの裸を写真やビデオに撮ることも含まれます。
 父親(実父、継父)が娘を対象にすることが多く、保護者的立場にある兄が妹にというようにきょうだいの間で起きることもあります。
   
【3】 ネグレクト
  〜児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は
   長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。〜
   子どもの健康状態を損なうほどの不適切な養育、あるいは危険についての重大な不注意を言います。例えば、家に閉じこめる、子どもの意志に反して学校に登校させない、重大な病気になっても病院に連れて行かない、乳幼児を家に残したままたびたび外出する、乳幼児を車に放置する、適切な食事を与えない、衣服・下着などを長時間ひどく不潔なままにする、極端に不潔な環境の中で生活させるなどです。
   
【4】 心理的虐待
  〜児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。〜
   子どもに対することばによる脅かし、無視などの拒否的な態度などで、子どもの心に深い傷を負わせる行為を言います。例えば、「おまえなんか産まなければよかった。」などと繰り返し言ったり、大声でどなったりすることや、子どもからの働きかけに応えなかったり、きょうだい間で著しい差別 をしたりすることなどです。
   
 
 子どもの虐待は、子どもへの不適切な関わりから生じます。虐待をしている多くの人は、虐待行為を「しつけのためにしている。」と言いますが、大人の一方的な感情や思いこみでなされる「しつけ」は、本当の「しつけ」ではありません。その行為が虐待か否かは子どもの立場に立って判断されるべきものです。
 児童虐待防止法第14条には、「児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。」とあり、子どもとの関わりについては、大人の側の自己点検が求められています。
   
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3 なぜ虐待が起こるのでしょうか?
   虐待といっても、いろいろなタイプがあり、個々のケースによっても特徴が異なりますが、以下の発生要因が複合したときに、虐待へと発展しやすくなります。
   
 
【1】 社会からの孤立
   核家族などで、日中話し相手がいないとか、身近に交流できる相手や子育ての悩みを相談する相手がいないなど、自分の家の中での生活が中心で、地域から孤立することは、育児不安や養育上の混乱を誘発しやすく、虐待につながる可能性が高いと言えます。また、家庭が地域から孤立していると、虐待の発見が遅れたり、虐待を深刻化させてしまうことにもなります。
   
【2】 家庭の状況
   夫婦関係が不安定で、一方が支配し、その配偶者が服従するという関係の中では、配偶者が虐待を黙認するということがしばしば起きます。また、若くして結婚し、心理的に親になりきれない場合やアルコール性疾患、精神的、経済的な問題を抱えている場合などは、生活上の不満や子育てからくるストレスで虐待が起こりやすくなります。
   
【3】 親の生育歴の問題
   子どもを虐待する親の中には、親自身が虐待を受けて育った場合が多いと言われています。それまでの生育歴から、人への信頼感が持ちにくく、また自己評価も低いなど、安定した人間関係が持ちにくくなっている人も多く見られます。暴力を受けた体験は、自分が子どもを育てるときに無意識のうちに再現しやすく、子どもに暴力をふるいやすくなります。また、親から得られなかった愛情と信頼を我が子との関係で満たそうとし、親子の役割逆転が起こり、子どもが自分の期待どおりに応えてくれないと見離された気持ちになり、虐待につながる場合もあります。
   
【4】 子ども自身の要因
   子どもが慢性疾患を持っていたり、障害があったり、よく泣いたり、食べなかったりするなどのいわゆる「育てにくい子」「手のかかる子」の場合は、親がその対応に追われ、余裕がなくなり、子どもに拒否的感情を持ち虐待をしてしまう場合があります。
   
【5】 親と子どもとの関係
   子どもへの虐待では、子ども全員に虐待をするのではなく、しばしばきょうだいの中の特定の子どもだけが対象となる場合があります。例えば、未熟児のため出生直後から長期入院していて、その間、母子分離の状態にあると、その子どもに愛情を感じられなくなっていたり、きょうだいを比較してしまい、どうしても受け入れられなかったりすることが原因で、虐待に結びつくことがあります。
   
 
 上述の虐待の発生要因は、虐待の発生の可能性を高める要因(リスク要因)であって、これらがあることが、必ずしも虐待を引き起こすということにはなりません。若い母親であっても、立派に子育てをしている人はたくさんいますし、未熟児として生まれても、その後の発達には問題がなく、ふつうの親子関係の中で育てられていることもたくさんあります。ですから、リスク要因をもっているからといって、短絡的に虐待と結びつけてはいけません。
 虐待のリスク要因があっても、例えば、親自身、一人の親からは虐待を受けたけれども、もう一人とはよい関係にあったとか、学校などで先生や仲間とよい人間関係を経験したとか、適切な心理的ケアを受けたことなどは、心の傷を癒(いや)し、虐待を防止するように働く要因となると考えられます。
   
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