牛レバーによるカンピロバクター食中毒予防について(Q &A )
| Q1 牛レバーはどの程度カンピロバクターに汚染されているのですか? |
A1:厚生労働科学研究食品安全確保研究事業「食品製造の高度衛生管理に関する研究」主任研究者:品川邦汎(岩手大学教授)において、健康な牛の肝臓及び胆汁中のカンピロバクター汚染調査を行ったところ、カンピロバクターは、従来、胆汁には存在しないと考えられていましたが、胆嚢内胆汁236 検体中60 検体(25 .4 %、胆管内胆汁)142 検体中31検体(21 .8 %、肝臓では236 検体中27 検体(11 .4 %)が陽性でした(表参照。)
表:牛の胆汁及び肝臓の部位別カンピロバクター属菌検出率と平均菌数
| 肝臓部位 | 検査数 | 検出数(%) | 陽性肝臓に対する 検出率(%) |
平均菌数 (個/g ) |
| 胆嚢内胆汁 胆管内胆汁 肝臓 左葉 方形葉 尾状葉 |
236 142 236 236 236 236 |
60 (25 .4 ) 31 (21 .8 ) 27 (11 .4 ) 21 (8 .90 ) 19 (8 .05 ) 13 (5 .51 ) |
− − 100 77 .8 70 .4 48 .1 |
2 ,700 6 ,200 − 55 22 10 |
| Q2 「カンピロバクター」とは、どういう細菌ですか? |
A2:カンピロバクターは、家畜の流産あるいは腸炎原因菌として獣医学分野で注目されていた菌で、ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物などあらゆる動物が保菌しています。1970 年代に下痢患者から本菌が検出され、ヒトに対する下痢原性が証明されましたが、特に1978 年に米国において水系感染により約2千人が感染した事例が発生し、世界的に注目されるようになりました。カンピロバクターは15 菌種9 亜種(2000 年現在)に分類されていますが、ヒトの下痢症から分離される菌種はカンピロバクター・ジェジュニがその95 〜99 を占%め、カンピロバクター・コリなども下痢症に関与しています。
| Q3 カンピロバクターに感染するとどんな症状になるのですか? |
A3:症状については、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似します。多くの患者は1 週間で治癒し、通常、死亡例や重篤例はまれですが、若齢者・高齢者、その他抵抗力の弱い者は重症化の可能性が高いことに注意が必要です。また、潜伏時間が一般に2 〜5 日間とやや長いことが特徴です。
| Q4 どのような食品がカンピロバクター食中毒の原因になるのですか? |
A4:カンピロバクター食中毒発生時における患者の喫食調査並びに施設等の疫学調査結果からは、推定原因食品又は感染源として、鶏肉関連調理食品及びその調理過程中の加熱不足や取扱い不備による二次汚染等が強く示唆されています。2003 年に発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるものが89 件、牛生レバーが疑われるものが10 件認められています。また、欧米では原因食品として生乳による事例も多く発生していますが、我が国では牛乳は加熱殺菌されて流通されており、当該食品による発生例はみられていません。この他、我が国では、不十分な殺菌による井戸水、湧水及び簡易水道水を感染源とした水系感染事例が発生しています。なお、過去5 年間の厚生労働省食中毒統計によると、カンピロバクター食中毒は、各年450 件前後発生しており、患者数は、1 ,700 〜2 ,600 人前後を推移しています。
| Q5 どのようなカンピロバクター食中毒の予防対策がとられていますか? |
A5:カンピロバクター食中毒の原因食品の一つである鶏肉については、食中毒菌による鶏肉汚染の防止等の観点から、食鳥処理場の構造設備基準や衛生的管理の基準が定められた「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」が1991 年に施行されました。また、1992 年には「食鳥処理場におけるHACCP 方式による衛生管理指針」を、定め、食鳥処理段階における微生物汚染の防止を図っています。牛レバーについては、1996 年に腸管出血性大腸菌O157 による食中毒が社会問題となり、と畜場における衛生管理の重要性が改めて指摘されたことから、と畜場法施行規則を1996 年に改正し、先進諸国において導入されつつあるHACCP 方式の考え方を導入したと畜場における衛生的な食肉の取扱いの規定を盛り込むとともに、同法施行令を1997 年に改正し、と畜場の衛生管理基準及び構造設備基準を追加し、食肉処理段階における微生物汚染の防止を図っています。
| Q6 牛の生レバーは安全ですか? |
A6:家畜は、健康な状態において腸管内などにカンピロバクター、腸管出血性大腸菌などの食中毒菌を持っていることが知られています。一方、今日の食肉処理の技術ではこれ。、らの食中毒菌を100 %除去することは困難とされていますこのため厚生労働省では食中毒予防の観点から若齢者、高齢者のほか抵抗力の弱い者については、生肉等を食べないよう、食べさせないよう従来から注意喚起を行っています。なお、通常の加熱調理を行えばカンピロバクターや腸管出血性大腸菌などは死滅するため、牛レバーを食べることによる感染の危険性はありません。
(参考)
○腸管出血性大腸菌による食中毒の対策について
http://www.mhlw.go.jp/to pics/0105/tp0502-1.html
○若齢者等の腸管出血性大腸菌食中毒の予防について
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuc hu/kanren/taisaku/dl/040525-1.pdf