事故で死亡14歳の逸失利益
「男女別算定は差別」
全労働者平均を採用 奈良地裁支部判決
中学生だった二女(当時14歳)を交通事故で亡くした奈良県の両親が加害者らに損害賠償を求めた民事訴訟で、奈良地裁葛城支部の神山隆一裁判官が、二女の逸失利益(事故に遭わなければ得られたと考えられる利益)を、男女合わせた全労働者の平均賃金を基に算定した判決を言い渡していたことが19日、分かった。子供など未就労者の逸失利益は労働省の「賃金センサス」(賃金構造基本統計調査結果)の男女別平均賃金を用いてそれぞれ算定するのが慣例。しかし、女性の平均賃金は男性より低いため、男女の賠償額にケースによっては1000万円近い差が生じている。こうした実態を「男女差別」と明言し、全労働者平均賃金を採用した判決は初めて。両親は「未就労の女子の逸失利益を女子の平均賃金を基礎に算定することは、法の下の平等に反する不合理な差別を容認し、娘の命の尊厳を傷つける」と主張。車を運転していた男性(28)側は「女子の平均賃金を基礎にすべきだ」と反論していた。今月4日の判決で、神山裁判官は「年少者の逸失利益の算定に男女差が生じることは、性別で可能性に差異を設けて一方的に差別することで、妥当とはいえない」と判断。男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法の施行など時代の流れにも触れ、「女性にとっても男性と同じ仕事、選択肢が与えられるようになっている。少なくとも中学生までの女子の逸失利益の算定は、男子を含む全労働者の平均賃金を用いるのが合理的」との見解を示した。
毎日新聞より抜粋(2000年7月20日)
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