
株式会社シグマ 会津工場 |
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会津磐梯山の麓、磐梯町に、
カメラ業界、特に一眼レフカメラの交換レンズメーカーとしてその名を馳せている株式会社シグマの会津工場があります。
現代の製造業はほとんどの分野でグローバル化が進んでいますが、
カメラ業界でも例外ではありません。
ところが、今回取材を通じて初めて知ったのですが、
シグマの工場は、ここ会津工場が唯一の工場なのです。
およそ1,050名の会津の人々がシグマの全製品を作っています。
一代でシグマを育て上げた代表取締役会長の山木道広さんに、
国内生産、会津工場にこだわる理由などを伺いました。
◆会津に工場を建設した経緯を教えてください。
昭和36年に創業以来、東京都内でレンズ製造を行っていましたが、
昭和40年代のオイルショックあたりから、
人手不足や資材不足、
首都圏から地方へ工場を誘導する政策などの状況があり、
精密機械産業に適している地域を日本全国探し回りました。
精密機械産業は内陸型であり、
環境の優れたところが適しています。
そして、文化の高いところが良い。
例を挙げると、スイスの時計産業や
ドイツの世界一流のレンズメーカー、カールツァイスなど。
ここ会津は、私がイメージしていた地域であり、
当初、猪苗代町に旋盤工場を建設、
その後、昭和48年に工場機能を全て磐梯町に移転しました。
◆会津に移転してから現在までを振り返って感想は?
会津に工場を移転した当時、
この業界はおよそ50もの会社がありました。
国内に工場を建設したのは2社のみ。
他は海外に出て行きました。
しかし数年後、業界の新年会の時、
生き残っていたのは、国内に留まった2社のみ。
シグマが今の地位にあるのは、
会津に工場を持ってきたからだと確信しています。
ただし、
工場の海外進出を全面的に否定するものではありません。
当社の製品は、様々な国で販売されており、
低廉な労働力を理由に海外に工場を進出するのではなく、
in marketの発想、買っていただくその国で製品を作る、
という理由なら、
海外での工場進出も検討すべきであると考えています。
そして、工場建設が成功するカギは、
優秀な人材が集まるかどうか、といえます。
会津は雪が多い。冬期間、交通がストップするときもある。
重厚長大型産業であれば、
会津での成功は難しいと思いますが、
精密機械産業であれば、
輸送のデメリットもそれほど大きな問題となりません。
逆に、他産業が進出していない分、
優秀な人材を採用できる可能性も拡がる。
何よりも会津には、優秀な人材が揃っています。
会津には、独特の精神風土がある。
作家の司馬遼太郎さんが、
「会津には、封建制時代の人間関係の美しさが残っている」
と述べておられますが、
まさしくそのとおりだと思います。
会津の人は辛抱強く、
“for the company”を実践してくれます。
家庭の理由以外で退社した社員は、ほとんどいません。
◆最後に、会津の好きな撮影ポイントを教えてください。
実は、写真は苦手。(笑)
カメラの量販店で、
カメラ業界社長が撮った写真の展覧会がありましたが、
断ったのですが、どうしても、と言われたので、
裏磐梯の五色沼に写真を撮りに行きました。
辛抱強く、理想の光の具合を待つことなどできず、
すぐ帰ってきちゃいました。
会津藩校「日新館」の教えに、
「ならぬものはならぬものです」があります。
山木会長さんの経営哲学を目の当たりにし、
会津魂の基本ともいえるこのフレーズが思い浮かびました。
会津出身ではない山木会長さんですが、
私が知っている誰よりも、会津人らしい方です。
そして、今回、
会津工場で設計の仕事に就いている小川真二さんにも、
お話を伺いました。
小川さんは、
生まれも育ちも会津若松市(旧北会津村)の41才。
昭和58年に入社後、設計一筋で24年になるそうです。
◆入社の時からカメラ好きだったのですか?
カメラ、レンズには全く興味がありませんでした。
地元の企業ということで入社したのですが、
入社後すぐ、2年半ほど本社で設計の仕事を研修し、
その後、レンズ自体の設計、
レンズの構造を設計する仕事に就いています。
入社当時は、PCが会社にしかなく、
毎日深夜まで会社で勉強していました。
レンズ設計は数字のシミュレーションで、
球面収差・非点収差など複数の数字を
目標の数値に合わせるのに苦労しました。
レンズ構造の設計は、
レンズ構成やレンズの動きを設計する仕事で、
コンパクトかつ丈夫に作ることなどが求められます。
お客様から、
「小さくて使いやすい」という言葉をいただくと、
本当に嬉しいですね。
◆自分の設計した製品が世界中で売られるのは、
すごいことですよね。
そうですね、
ピーク時は深夜2時3時まで残業することもありますが、
自分の設計した製品を色々なお客様に使っていただくのは、
本当にやりがいがあります。
◆お子さんにも自慢ですね。
中2の男の子、小5の女の子がいますが、
父親としては、それなりに興味を持ってほしいです。
でも、なかなか・・・
◆会津は風景写真の素材の宝庫。やっぱり写真はプロ級ですか?
それほどでもないです。(笑)
趣味は、PCのハード・ソフト作り、
車のサスペンション設定を自分好みに仕上げたり。
でも、レンズ設計という緻密な仕事ですが、
会津の自然環境の中、落ち着いて仕事ができる、
というのはありますね。
◆根っからの技術者なんですね。
そうかもしれないです。(笑)
磐梯山の麓で、信念を持った山木会長さんの下、
信念を持って仕事に取り組んでいる小川さん。
取材の帰途、
シグマという会社に会津藩の姿を重ね合わせてしまいました。
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