| 西会津国際芸術村/西会津町 |
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西会津国際芸術村 |
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◆いざ芸術村へ
会津若松から車で約1時間、
西会津町に入ると朝から降り続いていた雨も上がり、
道端の菜の花鮮やかさに取材への期待も高まる。
「リトアニアって何語でしょうかね?」
「? でも彼らは英語話せるらしいよ。」
「わたし英語話せませんけど」
「……。ボランティアの方が通訳してくれるから大丈夫だよ」
ほっとしたのもつかの間、一報が入る。
「すいません、通訳の方、来られなくなりました」
一抹の不安を覚えるが、
まぁなんとかなるさと思い込むことにする。
町内に入ってからは、曲がり角ごとに小さな木製案内板があり、
辿っていくと「新郷小学校」に到着。
鉄筋の小学校の体育館を挟んだ隣に、
これぞ学校という2階建ての木造校舎が目に入る。
ここが「西会津芸術村」。
統合中学校ができたため廃校となった旧新郷中学校を活用し、
2人のリトアニア人アーティストが
住み込みで創作活動を行っているのだ。
まず、校長室と表示されている事務室で
ボランティアの仲川さんに挨拶、
「言葉大丈夫でしょうか」と聞くと、
「わたしも英語話せるわけじゃないけど、
通じます、わかります」
と太鼓判を押された。
◆ヴァレンティナスさん登場
それでは取材を始めましょうか、と事務室を出ると、
いきなり壁、かと思いきや、
見上げればブロンドのロングヘア、
「なんて言ったらいいの」と思う間もなく、
100点満点の笑顔で「ウエルカム」と手が差し出された。
握り返すと手がすっぽりと包まれる、大きい。
「ヴァレンティナスです。
ヴァレンティナスはリトアニア語で、
志(こころざし)という意味、画家です。」と自己紹介。
首を直角にして見上げるほど背が高い、広い肩幅。
でも威圧感を感じないのは、
優しい目とどこか静かな物腰のせいか。
「毎朝、ヨガやってらっしゃるのよ」
という仲川さんの説明に納得する。
ヴァレンティナスさんが私たちを2階へ案内してくれた。
◆展示室へ
階段を上がって、思わず「わぁ」と歓声をあげる。
校舎の2階が展示室になっている。
長い年月生徒たちが磨き上げたのだろう、
つやのある廊下に、木彫りの彫刻と鮮やかな色彩の絵画。
美術館やギャラリーのような、おすまし感はない。
ギャラリーに変身した教室に入る。
まずはヴァレンティナスさんの部屋。
鮮やかな色彩の絵がある一方、
まるで習字のように、
白い紙に一色で書き上げられた絵がある。
筆のかすれで女性の髪の毛を表現したものもある。
実際に描いているところを撮影させてもらった。
1枚の和紙を前に、床に座り筆を握るヴァレンティナスさん。
ぴんと空気が張りつめる。
一息で筆を動かす、真っ直ぐな線、
蚊取り線香のような渦巻き。
女性の顔が白い紙に次々と浮かびあがっていく。
◆続いてケスチュティスさん登場
中学校の美術室だったのだろう、
部屋の隅には、
石膏の胸像や名前の書かれた図画板が積まれていた。
ここは、ケスチュティスさんの作業場。
ノコギリなどの作業道具が、
壁一面にきれいにディスプレイされている。
校舎に入ったときから聞こえていた音楽は、
ケスチュティスさんのBGM。
優しくて、とてもゆったりとした曲、
リトアニアの音楽だそうだ。
音楽にどっぷり浸かりながら、
椅子に背を丸め木を抱きかかえるようにして、
作品を彫っているのが、ケスチュティスさんだ。
立ち上がるとやっぱり背が高い。
作品に彫られた「木彫」
という漢字と自分とを交互に指さして、
自分は彫刻家だと自己紹介し、いたずらっぽく笑う。
作品はどれもそれぞれの木の質感を生かした、
暖かみのあるもの。
手のひらにのるサイズのすずめは、
杉の木目がとても美しい。
ヘラジカやエンジェルなど西洋的な作品の中に、
大仏様があぐらをかいて座っていたりする。
わたしたちが作品を見ていると、
一生懸命に日本語と英語を駆使して、
こちらが理解するまで丁寧に説明をしてくれる。
例えば、
ヘラジカの角の上に太陽が乗っている作品を指しながら、
「ヘラジカの角の先が9つに枝わかれしているのは、
赤ん坊が胎内で9ヶ月過ごすことと結びついている。
角の上の太陽は、
ヘラジカが太陽を運んでくるというイメージと
赤ん坊の誕生のイメージを重ね合わせたものだ」
というように。
◆2人の生活は?
2人の生活スペースになっている教室の黒板は、
ローマ字で埋め尽くされていた。
声に出して読んでみると、
「さようなら」「ありがとう」…日本語だ。
言葉を少しでも覚えようと、頑張っているらしい。
彼らは芸術村2期目のアーティスト。
平成17年12月に大雪の降る西会津町へやってきた。
1年3ヶ月をここ西会津町で過ごす。
「リトアニア共和国は寒いけれど、
雪はこんなにたくさんは降らないようです」
と仲川さんに教えてもらい、
例年にない豪雪の体験も、
彼らにとってまんざらでもなかったのかなと思う。
校舎の裏には、
ベジタリアンのヴァレンティナスさん必需の菜園が作られている。
隣の小学校は全校生徒24人。(複式学級)
入学式、卒業式、運動会などには彼ら宛の招待状が届く。
彼らも小学校に日本語の勉強に行ったり、
子供たちが芸術村へ絵を描きにきたりと
日常的に行き来をしている。
◆最後に
ぜひ、廊下のギシギシする懐かしい学校へ、
彼らと彼らの作品に会いに来てほしい。
山あいの古びた木造校舎と
彼らの作品の絶妙のマッチングに、
きっと驚かされ、そしてとても幸せな気持ちになれるはずだ。 |

校舎玄関 |

ヴァレンティナスとケスチュティス |

作品が並ぶ廊下 |

ケスチュティスの作業部屋 |

制作中のヴァレンティナス |

制作中のケスチュティス |

おどけるヴァレンティナス |

特注の桐下駄に大喜び |

教室に飾られた作品 |

作品を解説するケスチュティス |
| ◆西会津国際芸術村 |
ヴァレンティナス・ブタナヴィチウス
(Valentinas Butanavicius) |
画家・コスチュームデザイナー
※自分のシンボルはヘラジカだということで、ヘラジカをデザインしたTシャツを着ていました。
出身 リトアニア共和国 |
ケスチュティス・べネディカス
(Kestutis Benedikas) |
彫刻家・建築士
出身 リトアニア共和国 |
| 西会津国際芸術村 |
〒969-4622
福島県耶麻郡西会津町新郷大字笹川字上の原道上5752
電話 0241-47-3200 HP |
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